2020-01-01から1年間の記事一覧

驟雨 修道院 シュークリーム 

寺田寅彦と現代 新装版 作者:池内 了 発売日: 2020/05/22 メディア: 単行本 ものすごい入道雲を見た。驟雨、スコールのような雨が降る。ひと雨来ても涼しくはならない。 物理学者でありながら夏目漱石の高弟だった男 『寺田寅彦と現代 新装版』池内了著を読…

暦の上ではセプテンバー

生命の臨界―争点としての生命 発売日: 2005/02/01 メディア: 単行本 近所の給水管付け替え工事の騒音に負けずに、企画案を練る。 『生命の臨界 争点としての生命』松原洋子・小泉義之編を、つらつらと。みずみずしい、いいカバー写真だと思ったら鬼海弘雄で…

差別を暴力や不条理で落とし前をつける

フライデー・ブラック 作者:ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー 発売日: 2020/02/03 メディア: 単行本 『フライデー・ブラック』ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー著 押野素子訳を読む。 Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)が収拾しないのに…

ユーモラスな無頼派。しみるぅ!

木山さん、捷平さん (講談社文芸文庫) 作者:岩阪 恵子 発売日: 2012/12/11 メディア: 文庫 『木山さん、捷平さん』岩阪 恵子著の昔、書いたレビュー。 評伝を書くために作者は資料を漁る。木山にゆかりのある土地を訪ねる。そうこうしているうちに、作者の中…

じわじわと脳内が恐怖液で満たされていく

アメリカ怪談集 (河出文庫) 発売日: 2019/10/05 メディア: 文庫 『アメリカ怪談集』荒俣宏編を読む。 新大陸アメリカ。現状を打破しようとヨーロッパ各国から移民した様々な人たち。信仰している宗教が白眼視されるので新天地で布教に賭けようとする人たち。…

ザリガニマン創世記

ザリガニマン 作者:北野 勇作 発売日: 2017/02/01 メディア: Kindle版 『ザリガニマン』北野勇作著、読了。『ザリガニマン』そのイメージは、とっさに、『ウルトラセブン』のバルタン星人か、『仮面ライダー』に出てくる改造人間の敵役キャラみたいと思った…

こじらせ系女子ボットの事件簿

マーダーボット・ダイアリー 上 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ 発売日: 2019/12/11 メディア: Kindle版 マーダーボット・ダイアリー 下 (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ 発売日: 2019/12/11 メディア: Kindle版 『マーダーボット・ダイアリー…

いわずと知れた

外套・鼻 (講談社文芸文庫) 作者:ニコライ ゴーゴリ メディア: 文庫 『外套・鼻』ニコライ・ゴーゴリ著 吉川 宏人 訳を読む。 いわずと知れたゴーゴリの代表作。 「“我々はみなゴーゴリの<外套>から出てきたのだ”とドストエフスキイが言ったと伝えられる名作…

ちょっとひと息つきたいんで『回送電車』を読む

回送電車 (中公文庫) 作者:堀江 敏幸 発売日: 2008/06/01 メディア: 文庫 『回送電車』堀江敏幸著を読む。何度目だろう。 時々、駅で電車を待っていると、回送電車が通過することがある。当然、中には誰も乗っていない。走り去る無人の車両は、運転士がなぜ…

罰ゲームか

なにかが首のまわりに (河出文庫) 作者:チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 発売日: 2019/08/02 メディア: Kindle版 水着の生地製のマスクを濡らして家を出る。気がつくと乾いている。これでも十分、暑い。不織布マスクよりはマシだけど。何かの罰ゲームを…

長い「ガリレオの指」から「現代科学」がはじまった

ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論 作者:ピーター アトキンス 発売日: 2004/12/01 メディア: 単行本 ガリレオの指 仕事のリターンが来ないので、これ幸いと『ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論』ピーター・アトキンス著 斉藤 隆央訳を読了。 フィ…

コロナ禍のせみ―ほほえむポエム

夕方 渋谷方面行の電車に せみがいた 二子玉川駅で地下に入るコロナウィルス対策で換気のため車内の窓を一部開けていたそこから入ったのだろう 多摩川近辺で脱皮したのかな せみは脱出しようとパニックになりバタバタ虫嫌いの女性もパニックになりバタバタ …

バートルビー症候群と診断されても「その気になれないのですが」

乙女たちの地獄〈1〉―H.メルヴィル中短篇集 (1983年) (ゴシック叢書〈24〉) 作者:ハーマン・メルヴィル メディア: - 『乙女たちの地獄-H・メルヴィル中短篇集-1』ハーマン・メルヴィル著 杉浦銀策訳を読む。以下感想をば。 『バートルビー』 ある法律事…

地質は地球の履歴書―「地質学の父」の数奇な人生

世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生 作者:サイモン・ウィンチェスター 発売日: 2004/07/21 メディア: 単行本 『世界を変えた地図 ウィリアム・スミスと地質学の誕生』サイモン・ウィンチェスター著 野中邦子訳を読む。 いってみれば、イギリ…

夏なんです

フランス怪談集 (河出文庫) 発売日: 2020/04/04 メディア: 文庫 午前9時過ぎ。物干し台の鉢植えに水をやろうと二階にある水道の蛇口をひねるとお湯が出る。しばらく出しっぱなしにしておくと生温い水が出る。 伸び放題の庭木を切る気力もなく。コロボックル…

昔のレビューをひっぱりだしてみた

マッハとニーチェ 世紀転換期思想史 (講談社学術文庫) 作者:木田元 発売日: 2014/12/26 メディア: Kindle版 この暑さでマスクしているのと観光地へ行くのはよろしいが、帰省はよろしくないとではどちらが狂気の沙汰だろう。 感染者数をニュースで見ていても…

100文字の深淵なる大宇宙

100文字SF (ハヤカワ文庫JA) 作者:北野 勇作 発売日: 2020/06/04 メディア: Kindle版 ピーター・バラカンのラジオで聴いたフリートウッド・マック(つーか故ピーター・グリーン)の『ブラックマジックウーマン』に、はまる。おすそ分け。 Fleetwood Mac Pe…

セミが鳴いてるね

セミ 作者:ショーン・タン 発売日: 2019/05/11 メディア: 単行本 何日か前、セミが単独で鳴いていた。梅雨明けが待てないでフライング気味。 数日前、自転車で公園を抜けたらセミたちがクラスターで結構、鳴いていた。 ミンミンゼミ「ミーンミーン(彼女、ど…

奥にいる気はないのに奥さん 家の内にもいたくないのに家内

才女の運命 男たちの名声の陰で 作者:インゲ・シュテファン 発売日: 2020/03/19 メディア: 単行本(ソフトカバー) 『才女の運命 男たちの名声の陰で』インゲ・シュテファン著 松永美穂訳を読む。 元々才能があったのに、結婚や恋愛でその才能を夫や恋人に搾…

孫、猫かわいがり

孫ができた。正しくは、子どもが猫二人と暮らし始めた。だから、ぼくにとっては猫二人は孫のようなもの。 一時期来ていた猫もお見限りだし。 世にも稀なる猫の木を譲ってもらった。相手はさんざん渋っていたが、前からほしがっていた『バベルの図書館新編版 …

『アメリカの鱒釣り』は、好きかい?―リチャード・ブローティガンの評伝というよりも良くできたライナーノーツ

アメリカの鱒釣り (新潮文庫) 作者:リチャード ブローティガン 発売日: 2005/07/28 メディア: 文庫 『リチャード・ブローティガン』藤本和子著を読む。 この本、表紙が『アメリカの鱒釣り』と同じ。ファンだったら、ジャケ買いならぬカバー買いだよね。にし…

新訳で再びこわい!こわい!

消えた心臓/マグヌス伯爵 (光文社古典新訳文庫) 作者:M・R・ジェイムズ 発売日: 2020/06/10 メディア: 文庫 『消えた心臓/マグヌス伯爵』M・R・ジェイムズ著 南條竹則訳を読む。 『好古家の怪談集』の新訳。紀田順一郎訳で読んだが。 『消えた心臓』孤児とな…

GO TO トラブル

ラテンアメリカ怪談集 (河出文庫) 作者:H・L・ボルヘス他 発売日: 2017/09/05 メディア: 文庫 『GO TO トラブル』って探偵小説にならないか。舞台は「GOTO(後藤)探偵事務所」。元刑事。妻子に追い出され、女性にだらしない。仕事は一流。 『ラテンアメリカ怪…

雨が降る

雨が降る オレンジ色の猫の抜け毛も口紅のついた煙草の吸殻も 流していけ 雨が降る びしょ濡れのズボン 汗まみれのTシャツ重たい湿り気のある空気 やたら乾く咽喉 雨が降る バイトには 行きたくないが デートには 行きたい 彼女と新宿でホラー映画が見たいな…

博士の完璧性への異常なまでの欲情

虫の思想誌 (講談社学術文庫) 作者:池田 清彦 メディア: 文庫 よく降る雨。 『虫の思想誌』池田清彦著を読む。 「構造主義生物学」を標榜する作者の虫マニアとしての-「虫屋」と呼ぶのだそうだが、-その虫への尋常ならざる傾倒ぶりは、読んでいておかしい…

ジャジャジャジャーン~もう一人のシンドラー

ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく 作者:かげはら 史帆 発売日: 2018/10/09 メディア: 単行本 『べートーヴェン捏造 ―名プロデューサーは嘘をつく―』かげはら史帆著を読む。TBSラジオ『アフター6ジャンクション』で知った。 シンドラーと聞くと…

町中華、中華SF

月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:劉 慈欣・他 発売日: 2020/03/18 メディア: Kindle版 時差通勤で早出の人なのだろうか。朝の電車、ホワイトカラー率が高い。 『月の光 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編 大森望…

リアルでありながらもエンタメ系、骨太な「政治SF小説」

セレモニー 作者:王 力雄 発売日: 2019/04/26 メディア: 単行本 中華SFづいている今日この頃。 『セレモニー』王力雄著 金谷譲訳を読む。 「主席」に目をかけられていた国家安全委員会公室主任・蘇。ところが時代の流れが変わって一転、蘇の立場は危うくなる…

均一ではなく混血。これが、現状を打破する可能性を孕んでいる

クレオール主義 (ちくま学芸文庫) 作者:今福 龍太 メディア: 文庫 昔、書いたものだが、いまの方がさらに通じると思うので再掲載。 『クレオール主義』今福龍太著を読む。 ますます悪名高い(?)グローバル主義に対抗する言葉として脚光を浴びているのが、…

ちいさなミミズのおおきな役割

ミミズのいる地球 大陸移動の生き証人 (中公新書) 作者:中村方子 発売日: 2014/07/11 メディア: Kindle版 『ミミズのいる地球 大陸移動の生き証人』中村方子著を読む。 この季節になると、道路で日干しになったミミズをよく見かける。 学級花壇や自宅の庭で…