2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

バタイユ 1978 (3)

改訳決定版 マダム・エドワルダ ピエール・アンジェリック 生田耕作翻訳 金子國義挿絵 作者:ピエール・アンジェリック サバト館 Amazon 3. バタイユがよく用いた、そして彼の思想の中で重要な位置を占める「非‐知(ノンサヴォワール)」についてあれこれ考えて…

バタイユ 1978 (2)

内的体験 (平凡社ライブラリー) 作者:ジョルジュ バタイユ 平凡社 Amazon 2 バタイユはモラリストだったのだろうか。モンテーニュ、パスカル、デカルトたちのような。サルトルは、バタイユのうちに、パスカルの特徴をひとつならず見出すそうである。バタイユ…

バタイユ 1978 (1)

眼球譚[初稿] (河出文庫) 作者:ジョルジュ バタイユ 河出書房新社 Amazon 引越しの段ボールを開けていたら、卒論のファイルが出て来た。お気に入りだったパイロットの太字万年筆で書かれた原稿。誤字・脱字、意味不明な箇所に指導教授である矢内原伊作先生の…

私たちにいまでもハイデガーの『存在と時間』は有効か

極限の思想 ハイデガー 世界内存在を生きる (講談社選書メチエ) 作者:高井 ゆと里 講談社 Amazon 『ハイデガー-世界内存在を生きる-』高井ゆと里著を読む。 ハイデガーの『存在と時間』岩波文庫全3巻は、学生時代に読み通せた数少ない本。あ、一応読んだと…

やっと内定がもらえたら、そこは

異端の祝祭 佐々木事務所シリーズ (角川ホラー文庫) 作者:芦花公園 KADOKAWA Amazon 『異端の祝祭』芦花公園著を読む。 見えないものが見えてしまう島本笑美。同級生らとつきあうことが苦手で学校や地元に自分の居場所はなかった。勉強に打ち込んで東京の大…

「1945~75年の変格ミステリベスト10」(仮) 

竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇I】 (行舟文庫 GSた 1-2) 作者:香山 滋,大坪 砂男,橘 外男,山田 風太郎,土屋 隆夫,日影 丈吉,陳 舜臣,戸川 昌子,小松 左京,中井 英夫 行舟文化 Amazon 『変格ミステリ傑作選 戦後篇1』竹本健治選を読む。「1945~75…

点から線へ。日本のミステリーの系譜を知る。ぞくぞく、読みたい本も

怪異猟奇ミステリー全史 (新潮選書) 作者:風間 賢二 新潮社 Amazon 『怪異猟奇ミステリー全史』風間賢二著を読む。 日本のミステリー、主に昔の作品を、虫食いで読んでいる。情報源はネットレビューなど。そこで評判のよいものを買ったり、借りたり。圧倒的…

袋小路の男、『袋小路の男』を読む

袋小路の男 (講談社文庫) 作者:絲山秋子 講談社 Amazon 2005年に書いたレビュー。 まだ読んでなかった絲山秋子の『袋小路の男』を昨夜からと地下鉄の往復でさくさくと読了。曙橋つーか、市谷河田町は、フジTVが以前あったところで、生CMの仕事で一時期通った…

諧謔のスノビズム―死を嗤え

ブラック・ユーモア選集〈2〉囁きの霊園 (1976年) 作者:イーヴリン ウォー Amazon 『囁きの霊園』イーヴリン・ウォー著 吉田誠一訳を読む。 イーヴリン・ウォーはグレアム・グリーンと並ぶイギリスを代表するカトリック作家である。彼は現代文明をそして醜悪…

「400万年」に及ぶ人間、もしくは科学者の試行錯誤ぶりをまとめた労作

この世界を知るための 人類と科学の400万年史 (河出文庫) 作者:ムロディナウ,レナード 河出書房新社 Amazon 『この世界を知るための人類と科学の400万年史』レナード・ムロディナウ著 水谷淳訳を読む。 人類の誕生から科学がどう生まれて、どのように現代ま…

一文字の大宇宙―洒脱だったり、くすっとしたり、感心したり

詩人キム・ソヨン 一文字の辞典 作者:キム・ソヨン CUON Amazon 参議院選挙の結果は、ほぼマスコミの予想通り。つまらないので、つまらなくない本を読む。 『詩人キム・ソヨン一文字の辞典』キムソヨン著 姜信子監訳 一文字辞典翻訳委員会訳を読む。 漢字は…

黒衣をまとった詩人

左川ちか全集 作者:左川ちか 書肆侃侃房 Amazon 『左川ちか全集』左川ちか著 島田龍編を読む。 伊藤整は読んでいた。春山行夫も知っている。北園克衛は大好きな詩人だし。でも、なぜか、左川ちかは知らなかった。彼らとこんなに身近だった彼女を。 評判を聞…

エンパワーメントとしての対話―「我、思う」から「我々、話す」へ

水中の哲学者たち 作者:永井玲衣 晶文社 Amazon 『水中の哲学者たち』永井玲衣著を読む。 アルキメデスは入浴しているとき、あふれるお湯を見て、はたと閃いた。これが、「アルキメデスの原理」。この本も南の透き通った海をシュノーケリングしているときに…

柄谷が、こんなにわかっていいのかしら

トランスクリティーク――カントとマルクス (岩波現代文庫) 作者:柄谷 行人 岩波書店 Amazon 『トランスクリティーク カントとマルクス』柄谷行人著を読んだ。 標題の『トランスクリティーク』とは何か。作者は本文中にこう記述している。 「科学史におけるコ…

メイク・ブレッド

日本世間噺大系 (新潮文庫) 作者:十三, 伊丹 新潮社 Amazon 炎天下の引越し。今日が最終日。 7カ月余りの仮住まい。お世話になりました。 荷造りをしていたら、伊丹十三著の『日本世間噺大系』と遭遇。何十年かぶりで読み直す。いかんいかん。 十代後半から…