2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

2022年 最初の今日の5首

年賀状 減る 一方 一方 おくすり手帳 増える 一方 奥歯にものが挟まったような言い方をしてって よく言われるが その奥歯 抜かれたよ 世田谷城址公園 女子高生と散歩する妄想 乗代雄介の小説 読み過ぎ 口裂け女 寂しい路地裏で マスク外そうとしたら マスク…

ヒトは「完全人工培養」されるのだろうか―SFが現実に?

人工培養された脳は「誰」なのか:超先端バイオ技術が変える新生命 作者:フィリップ・ボール 原書房 Amazon 『人工培養された脳は「誰」なのか-超先端バイオ技術が変える新生命-』フィリップ・ボール著 桐谷知未訳を読む。 「2017年の夏、わたしの腕から採…

赤は血、霧は謎

赤い霧 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 作者:ポール アルテ 早川書房 Amazon 『赤い霧』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。 1880年代のイギリス。自称新聞記者のシドニー・マイルズは、 10年ほど前、密室殺人が起きたブラックフィールドへやって来た。 小説…

追憶と記憶と眠りと

眠りの航路 (エクス・リブリス) 作者:呉明益 白水社 Amazon 『眠りの航路』呉明益著 倉本知明訳を読む。 本作がデビュー作なんだ。 主人公の「ぼく」は、記者を辞め、台北でフリーライターをしている。村上春樹言うところの「文化的雪かき」。このところ、睡…

ドードーってどんな鳥だったのだろう

ドードーをめぐる堂々めぐり――正保四年に消えた絶滅鳥を追って 作者:川端 裕人 岩波書店 Amazon 『ドードーをめぐる堂々めぐり-正保四年に消えた絶滅鳥を追って-』川端裕人著を読む。 ドードーと聞くと『不思議の国のアリス』を連想する人も多いはず。想像…

「文は人なり」を地で行く衝撃、笑撃のエッセイ集

ここに来るまで忘れてた。 作者:吉田靖直 交通新聞社 Amazon 『ここに来るまで忘れてた。』吉田靖直著を読む。 著者を初めて知ったのはテレビ東京の『共感百景』という年末の特番だった。ロックバンド、トリプルファイヤーのヴォーカルでありながら、ぼそぼ…

未開社会への見方が変わる

国家をもたぬよう社会は努めてきた: クラストルは語る 作者:ピエール・クラストル 洛北出版 Amazon 『国家をもたぬよう社会は努めてきた クラストルは語る』ピエール・クラストル著 酒井隆史訳・解題 を読む。 ピエール・クラストルに関するガイドブック。 …

シャーリイ・ジャクスンが書いたホームドラマ

壁の向こうへ続く道 作者:シャーリイ・ジャクスン 文遊社 Amazon 『壁の向こうへ続く道』 シャーリイ・ジャクスン著 渡辺庸子訳を読む。 作者の長篇小説第一作目がようやく日本語で読めるようになった。訳者あとがきによると、作者は短編、しかもこわいもの…

『国家とはなにか』とはなにか

『国家とはなにか』 作者:萱野 稔人 以文社 Amazon 『国家とはなにか』萱野稔人を読む。 このところ、頭に浮かぶものが、突き詰めていくと、「国家」という言葉にぶちあたって、そこから先へ進まない。 この本では、国家・権力・暴力・主権・資本主義など、…

「捨ててやった、クロードを」―街でいちばんのかしましい女

アフター・クロード (ドーキー・アーカイヴ) (DALKEY ARCHIVE) 作者:アイリス・オーウェンス 国書刊行会 Amazon 『アフター・クロード』アイリス・オーウェンス著 渡辺佐智江訳を読む。ジャケ買いならぬ装幀買いで。 「捨ててやった、クロードを。あのフラン…

もう最後の最後まで頭がグルグル

第四の扉 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ポール アルテ 早川書房 Amazon 『第四の扉』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。 作者に関する何の知識も与えずに、いきなり、ゲラかなんかで本作の部分を 読まされたら、昔に書かれたゴースト・ストーリーとかミス…

作者いうところの「マルクス主義の遺産鑑定とその継承」って実際、どーよ?

「資本」論 ――取引する身体/取引される身体 (ちくま新書) 作者:稲葉振一郎 筑摩書房 Amazon 高校のとき、文芸誌で小林多喜二の虐殺写真が掲載されていた。『蟹工船』以下プロレタリアアート文学は、当局に発禁、その挙句に殲滅させられるほど、恐ろしい小説…

ただ、あまりにも心の中が空虚なのだ

幽霊 作者:チョン・ヨンジュン 彩流社 Amazon 『幽霊』チョン・ヨンジュン著 浅田絵美訳を読む。 読み出したら、すぐに止まらなくなった。ページ数もそんなにあるわけではないのですぐに読了してしまった。 政府高官など全部で12人を殺した死刑囚・474番が主…

『居残り佐平次』が川島雄三の『幕末太陽伝』のネタもとであったとは

幕末太陽傳 [DVD] フランキー堺 Amazon 志ん朝の『居残り佐平次』をCDで聴く。江戸弁の語りの小気味よさ、テンポの良さに引き込まれて、品川の遊郭にタイムスリップしてしまった。この噺が、川島雄三の『幕末太陽伝』のネタもとであることは、つゆ知らず。 …

ふしぎなはなし

密室殺人ありがとう ――ミステリ短篇傑作選 (ちくま文庫) 作者:田中 小実昌 筑摩書房 Amazon 『密室殺人ありがとう-ミステリ短篇傑作選-』田中小実昌著 日下三蔵編を読む。 かつて中間雑誌に掲載されたミステリをピックアップした未書籍化ミステリ短篇集。…

めでたさも中くらいなりおらが春by一茶

流れる 【東宝DVD名作セレクション】 田中絹代 Amazon 6時の鐘で目を覚ます。徳利と猪口が段ボール住まいなのでコップでチンした純米酒を3杯呑む。 午後、仮住まい宅から浄光寺、豪徳寺へ歩いて初詣。豪徳寺、賑わっていた。 録画しておいた『流れる』成瀬巳…