「共にいて不幸なら離れるしかない」

愛情という名の支配―家族を縛る共依存 作者:信田 さよ子 海竜社 Amazon 『愛情という名の支配 家族を縛る共依存』信田さよ子著を読む。 作者を知ったのは、晶文社のホームページの今“プチ家出のすすめ”一生との対談だった。その対談内容がとてもするどくて、…

美しすぎてキミが怖い キミが悪い

漆黒の慕情 佐々木事務所シリーズ (角川ホラー文庫) 作者:芦花公園 KADOKAWA Amazon 『漆黒の慕情』芦花公園著を読む。 『異端の祝祭』の続篇。でもないか。でもそうだろ。 美しすぎる塾講師・片山敏彦が主人公。余りにも美青年すぎて女性はもちろん男性から…

「32世紀」宇宙の旅―なかなか太陽系外生命体とのファースト・コンタクトに近づかない

マゼラン雲(スタニスワフ・レム・コレクション) 作者:スタニスワフ・レム 国書刊行会 Amazon 『マゼラン雲』スタニスワフ・レム著 後藤正子訳を読む。 「32世紀」「227名」もの乗組員を乗せてゲア号はケンタウルス座α星へ。目的は「太陽系外有人探査」。主人…

リメンバー 民俗学者・柳田国男

山の精神史―柳田国男の発生 作者:赤坂 憲雄 小学館 Amazon 『山の精神史 柳田国男の発生』赤坂憲雄著を読む。 作者は、遠野(岩手県)、椎葉(宮崎県)、柳田の生地である述川(兵庫県)、津軽(青森県)と柳田国男ゆかりの地を訪ねる。ロードムーヴィーなら…

身体は宇宙を内蔵する

五界彷徨―夢のもつれ2 作者:鷲田 清一 北宋社 Amazon 『五界彷徨 夢のもつれ・2』鷲田清一著を読む。 「そうすると、皮膚だけがぼくらの存在の表面なのではない。さらには内臓の表面、衣服のテクスチュアだけでなく、ぼくの身体に埋め込まれた人工臓器の表…

ホールデン・コールフィールド後日譚ほか

このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年 (新潮モダン・クラシックス) 作者:J・D・サリンジャー 新潮社 Amazon 『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年』J.D.サリンジャー著 金原瑞人訳を読む。 訳者あ…

『蒲団』と言えば田山花袋。これからは、橘外男

橘外男日本怪談集-蒲団 (中公文庫 た 19-5) 作者:橘 外男 中央公論新社 Amazon 『蒲団-橘外男日本怪談集-』橘外男著を読む。 『変格ミステリ傑作選 戦後篇1』竹本健治選に収められている『陰獣トリステサ』橘外男著を読んで、すげえ!と思った。 怪談の名手…

もたれあわないささえあいとは

まなざしの記憶――誰かの傍らで 作者:植田 正治,鷲田 清一 CCCメディアハウス Amazon 『まなざしの記憶 だれかの傍らで』鷲田清一著 写真植田正治 を読む。 まず、写真家・植田正治から。彼の写真は、モダンである。アールデコの建造物のように、整然としてい…

新しい書き手の数だけ新しいSFがある

新しい世界を生きるための14のSF (ハヤカワ文庫JA) 早川書房 Amazon 『新しい世界を生きるための14のSF』伴名練編 芦沢央〔ほか著〕を読む。 「まだSFの単著を刊行していない新世代作家たちの14篇を収録したSFアンソロジー」 先物買いならぬ先者読み。…

脳とコンピューターをメタファーで取り上げてはいけない

考える脳 考えるコンピューター 作者:ジェフ・ホーキンス,サンドラ・ブレイクスリー ランダムハウス講談社 Amazon 『考える脳考えるコンピューター』ジェフ・ホーキンス サンドラ・ブレイクスリー著 伊藤文英訳、 読了。ところどころピンとくるところがあっ…

短距離走者の孤独

彼女の思い出/逆さまの森 (新潮モダン・クラシックス) 作者:J・D・サリンジャー 新潮社 Amazon 『彼女の思い出/逆さまの森』J.D.サリンジャー著 金原瑞人訳を読む。きっかけは、『謎ときサリンジャー-「自殺」したのは誰なのか-』竹内康浩著 朴舜起著…

裏『漫画道』―「少年老いやすく、ギャグなり難し」(by小林信彦)

漫画に愛を叫んだ男たち トキワ荘物語 作者:長谷 邦夫 清流出版 Amazon 『BS漫画夜話』で藤子不二夫Aの『漫画道』を取り上げた回があった。トキワ荘を舞台にした手塚治虫と若き漫画家たちの成長物語で、ここまで純だとかえってうらましいとも思える作品なの…

血と汗と涙(ブラッド・スウェット&ティアーズ)

ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則 作者:ジム コリンズ;ジェリー ポラス 日経BP Amazon 昨日、4回目の新型コロナワクチン接種をする。今回がいちばんだるいかも。で、昔書いたレビューから。 『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原…

サウイフモノニワタシハナリタイ―「男らしさ」の呪縛からの脱却

マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち (集英社新書) 作者:杉田 俊介 集英社 Amazon 『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か-#MeTooに加われない男たち-』杉田俊介著を読む。 フェミニズム―わかっているよう…

この世は『優しい地獄』

優しい地獄 作者:イリナ・グリゴレ 亜紀書房 Amazon 『優しい地獄』イリナ・グリゴレ著を読む。 ルーマニア出身の著者。黒澤明の映画が好きで、日本語にも興味があって日本語を履修する。日本文化に興味を覚えた彼女は留学生として日本に来る。 祖父母のこと…

「心には表面しかない(The Mind is Flat)」。その裏は?

心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学 (講談社選書メチエ) 作者:ニック・チェイター,高橋達二,長谷川珈 講談社 Amazon 『心はこうして創られる-「即興する脳」の心理学-』ニック・チェイター著 高橋達二訳 長谷川珈訳を読む。 「無意識の思考、深…

聴いて面白かったのは、読んでも楽しいのだ

東京 IN THE FLESH 作者:高木 完 イースト・プレス Amazon 『東京IN THE FLESH』高木完著を読む。 J-WAVE(81.3FM)の「TOKYO M.A.A.D SPIN」(火曜日の深夜、つーか水曜日の早朝3:00~5:00オンエア)のMCが著者。途中から聴きだした。近田春夫がゲストで近田…

「文学探偵」と助手による見事な推理

謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―(新潮選書) 作者:竹内康浩,朴舜起 新潮社 Amazon 『謎ときサリンジャー-「自殺」したのは誰なのか-』竹内康浩著 朴舜起著を読む。 サリンジャーの『バナナフィッシュにうってつけの日』は、『ナイン・スト…

「ねこ、こども、もうふ、ふね、ねっしー、」

ねこ・こども (幼児絵本シリーズ) 作者:佐々木 マキ 福音館書店 Amazon 『ねこ・こども』佐々木マキさくを読む。 約8カ月の仮住まいから建て替えた家へ引越し。6人家族になった。内訳は人が3人。猫が3人。 子どもと暮らしていたサビ猫姉妹は、家の中を自由に…

ネット巌窟王、またはネット偏屈王

イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド 作者:小田嶋 隆 朝日新聞出版 Amazon 書籍の段ボールを開けたら『イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド』小田嶋隆を発見せり。再読す。大掃除で畳を起こして敷いていた古…

ほんとうの「正しさ」にたどり着くためには

「みんな違ってみんないい」のか? ──相対主義と普遍主義の問題 (ちくまプリマー新書) 作者:山口裕之 筑摩書房 Amazon 『「みんな違ってみんないい」のか? 相対主義と普遍主義の問題』 山口裕之著を読む。 「みんな違ってみんないい」って金子みすゞの詩のフ…

飛ぶのが怖い―でも飛ばなければね、「サトーサトー」

離陸 (文春文庫) 作者:絲山秋子 文藝春秋 Amazon 『離陸』絲山秋子著を読む。 群馬の八木沢ダムで働く佐藤。国交省の官僚なのだが、この人里離れた環境は霞が関よりも自分にあっていると思えた。彼には恋人がいた。名前は乃緒。女優。遠距離恋愛になって疎遠…

すべて売り物―飲んだ、恋した、書いた

あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集 (ブックスならんですわる) 作者:ジーン・リース 亜紀書房 Amazon 『あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集』ジーン・リース著 西崎憲編 安藤しを ほか訳を読む。 作者は旧英国領ドミニカ国に生まれ…

漢字る 感じる―元祖ボーイズラブ小説

紺青のわかれ (河出文庫) 作者:塚本邦雄 河出書房新社 Amazon 『紺青のわかれ』塚本邦雄著を読む。一作目の小説だそうだ。 『十二神将変』で圧倒された作者の小説、復刻版文庫第二弾。 そんなに厚くない短篇集。なのに、読み終えるまで時間がかかった。ルビ…

よーく、もぐもぐしないと呑み込めないが、刺激的な本であることには間違いない

知の挑戦―科学的知性と文化的知性の統合 作者:エドワード・オズボーン ウィルソン 角川書店 Amazon 『知の挑戦~科学的知性と文化的知性の統合~』エドワード・O・ウィルソンが遅々として進まないけど、それはひっかかるところが多いということで。 引用2か…

令和版「男はつらいよ」と、あえてダサいキャッチコピーにしてみた

新しい声を聞くぼくたち 作者:河野真太郎 講談社 Amazon 『新しい声を聞くぼくたち』河野真太郎著を読む。 「本書のテーマは「ポストフェミニズム状況における男性性」です」 それは、こういうことだと。 「本章(第1章)では現代におけるもっとも重要な対立、…

もういいかい、まあだかい

百間、まだ死なざるや-内田百間伝 (単行本) 作者:山本 一生 中央公論新社 Amazon 『百間、まだ死なざるや-内田百間伝-』山本一生著を読む。 内田百間(通常は百閒なのだが、間にしているのは作者の意図か)と言うと、岡山の造り酒屋に生まれ、酒豪で健啖家、…

哲学というレンズで「言葉とコミュニケーション」にズームイン

言葉の展望台 作者:三木那由他 講談社 Amazon 『言葉の展望台』三木那由他著を読む。 まず、常套句を。ひとは、何らかのコミュニケーション無しでは生きていけないという。自分の気持ちや考えを他者に伝える、伝え合う。それがコミュニケーションで、そのた…

すぐ読める すごく面白い

おもいでマシン (新潮文庫) 作者:梶尾 真治 新潮社 Amazon 『おもいでマシン-1話3分の超短編集-』梶尾真治著を読む。 「1話3分」=400字詰め原稿用紙6枚。と、決めて書かれたショートショート。100文字SFならぬ2400文字SF。全40話。 あとがきで原点に立…

いま読んでもワクワクすッゾ!

スノウ・クラッシュ〔新版〕 上 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ニール スティーヴンスン 早川書房 Amazon スノウ・クラッシュ〔新版〕 下 (ハヤカワ文庫SF) 作者:ニール スティーヴンスン 早川書房 Amazon 『スノウ・クラッシュ 新版』(上)(下)ニール・スティーヴン…