良い酔い宵

ウィスキーボンボン 作者:山本 昌代 講談社 Amazon たぶん、「山本昌代」と言うよりも、「『居酒屋ゆうれい』の作者」と言う方が、通りは良いだろう。作者の書くものには、時代劇ものと現代ものの2方向があるが、なぜかぼくは、もっぱら現代ものの方を愛読…

弊機 兵器 平気―へりくだる?へりくだらない?

ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫) 作者:マーサ・ウェルズ 東京創元社 Amazon 『ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー』マーサ・ウェルズ著 中原尚哉訳を読む。 人型警備ユニットの弊機が活躍するマーダー…

少年老い易く詩有りがたし

ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集 (福音館創作童話シリーズ) 作者:斉藤 倫 株式会社 福音館書店 Amazon 『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』斉藤倫著 高野文子画を読む。 いまや読む人よりも書く人…

猫 鼻炎 ぴえん

猫のグレコが 鼻をグズグズ くしゃみ くしゅんくしゅんちゅーるをあげたとき はなちょうちんがふくらんだ わが家は猫まで花粉症なのか 仮住まいの最寄り駅にある駅前の動物病院に連れていく ケージからキャリーバッグに移すのにひと苦労自転車の前かごに乗せ…

この短篇集はカレイド・スコープ。いろんな人生模様をのぞかせてくれる

郊外のフェアリーテール キャサリン・マンスフィールド短篇集 (ブックスならんですわる 02) 作者:キャサリン・マンスフィールド 亜紀書房 Amazon 『郊外のフェアリーテール キャサリン・マンスフィールド短篇集』キャサリン・マンスフィールド著 西崎憲編訳…

時の過ぎ行くままに

妻の部屋 遺作十二篇 (文春文庫) 作者:古山 高麗雄 文藝春秋 Amazon 『妻の部屋 遺作十二篇』古山高麗雄著を読む 四十歳を過ぎたあたりからだろうか。結婚式よりも、葬式に出る方が多くなったのは。今は年賀状だけのやり取りだけになってしまった学生時代の…

『スイミングプール』を見る。シャーロット・ランプリングを見る

スイミング・プール 無修正版 [DVD] シャーロット・ランプリング Amazon 『スイミング・プール』を見る。フランソワ・オゾン監督。才能、あるなあ。 シャーロット・ランプリング演じるイギリスの売れっ子ミステリー作家とニンフォマニアの若い娘(出版エージ…

オイモは、小学校3年生のモモヨちゃんの家で飼っている犬の名前

オイモはときどきいなくなる (福音館創作童話シリーズ) 作者:田中 哲弥 福音館書店 Amazon 『オイモはときどきいなくなる』 田中哲弥著 加藤久仁生画を読む。 オイモは、小学校3年生のモモヨちゃんの家で飼っている犬の名前。変な名前だが、子犬のとき、体の…

「人はなぜ学ぶのか。それは知恵を身につけるため」

学問の発見 数学者が語る「考えること・学ぶこと」 (ブルーバックス) 作者:広中 平祐 講談社 Amazon 『学問の発見-数学者が語る「考えること・学ぶこと」-』広中平祐著を読む。 特異点解消の定理でフィールズ賞を受賞した世界的な数学者の自伝。読み出した…

スモール・タウン・トーク―脈絡がないと思われる断片断片が、合体して物語になる

ゆみに町ガイドブック 作者:西崎 憲 河出書房新社 Amazon 『ゆみに町ガイドブック』西崎憲著を読む。 ゆみに町に住む小説家・翻訳家の「わたし」(女性)。何やらコンピュータ・プログラミングでゆみに町に関係している「雲マニア」。クリストファー・ロビンを…

抜けられます―「あやかしの裏通り」にご用心

あやかしの裏通り 名探偵オーウェン・バーンズシリーズ 作者:ポール・アルテ,平岡敦 行舟文化 Amazon アラン・ツイスト博士シリーズの次は、名探偵オーウェン・バーンズシリーズへ。まずは、『あやかしの裏通り』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。 オーウェ…

カメラ=万年筆ではなくて、カメラ = 絵筆

岡本太郎の沖縄 (小学館クリエイティブビジュアル) 小学館クリエイティブ Amazon 『岡本太郎の沖縄』 平野 暁臣 (編集) 岡本 太郎著を読む。 学生時代、アルバイト先で沖縄出身の男と知り合った。ふとしたことで、子どもの頃のアイスキャンディーかキャラメ…

森は異界への秘密の扉

始まりの場所 (海外SFノヴェルズ) 作者:アーシュラ K. ル・グィン 早川書房 Amazon 『始まりの場所』アーシュラ・K・ル・グィン著 小尾芙佐訳を読む。 - 自分だけの秘密の場所ってある?鉄条網に囲まれ、てっぺんには避雷針のついた火薬庫、ドングリがいっ…

加賀美捜査一課長、和製「メグレ警視」、奮戦す

霊魂の足: 加賀美捜査一課長全短篇 (創元推理文庫 M つ 8-1) 作者:角田 喜久雄 東京創元社 Amazon 『霊魂の足-加賀美捜査一課長全短篇-』角田喜久雄著を読む。 第二次世界大戦後の日本。まだ戦争、敗戦の影が生活にも心にも暗い影を投げかけていた。人々は…

柱の陰に熱心な聴き手がいる

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫) 作者:奥泉光 集英社 Amazon 『鳥類学者のファンタジア』奥泉光著を読む。 前作『グランド・ミステリー』で、ミステリーファンから純文学マニアまでうならせた作者の最新作。本作は一転して、謎あり、ロマンスあり、笑い…

親知らず 抜いた

親の心 子知らず 子の心 親知らず 知らず知らず 悪くなっていた 親知らず 知らず 歯科大学病院で親知らず 抜いた 3月に1本 4月に1本 計2本 片っぽが父親なら もう片っぽは母親 親は知っているが 親はもういない 親のいない僕 親知らず2本ない 抜いた親知ら…

孤島もの、ゴシック、少年愛、密室殺人、異常心理学が混然一体となったペダンチックなミステリ

弔い月の下にて 作者:倉野憲比古 行舟文化 Amazon 『弔い月の下にて』倉野憲比古著を読む。 以前、テレビで隠れ切支丹の特集を見たことがある。たぶん、世界遺産に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が認定された頃。正式名称。調べますた。 キリス…

新米探偵のオフィスは台北のうらぶれた路地裏にある

台北プライベートアイ (文春e-book) 作者:紀 蔚然 文藝春秋 Amazon 『台北プライベートアイ』紀蔚然著 舩山むつみ訳を読む。 劇作家で大学教授だった呉誠は、演劇も大学も嫌になり、こともあろうに私立探偵に転職する。台北の路地裏に掲げた看板。探偵の経験…

地球環境を守るために、彼女たちが行ったさまざまなこと

すてきで偉大な女性たちが地球を守った 作者:ケイト・パンクハースト 化学同人 Amazon 『すてきで偉大な女性たちが地球を守った』ケイト・パンクハースト作 橋本あゆみ訳を読む。 地球環境を守るために、具体的にアクションを起こした女性たちを取り上げた絵…

子どもたちは、なぜ失踪したのか

OKAGE (ハヤカワ文庫JA) 作者:梶尾 真治 早川書房 Amazon 『OKAGE』梶尾真治著を読む。SF好きの友人に「多分、気に入るよ」と薦められたのが、本書である。「カジシン」こと梶尾真治は、日本のSF作家の中で、その力量は定評があるそうだ。 タイトルの「O…

出てくるわ、出てくるわ

黄泉がえり (新潮文庫) 作者:真治, 梶尾 新潮社 Amazon 『黄泉がえり』梶尾真治著を読む。 静かな夜に、突然、物音がすると、よく「あ、死んだおじいちゃんが会いに来た」などと冗談を飛ばす時があると思う。 熊本市内に火の玉を見たという情報が何件も入る…

スタジオジブリでアニメーション化するのも、ハマりだろう。ただ、ちょっと不満もある

八月の博物館(新潮文庫) 作者:瀬名秀明 新潮社 Amazon 『八月の博物館』瀬名秀明著を読む。 小学校最後の夏休み、文学少年で友人と小説も執筆している男の子は、帰りにクラシックな洋館を見つける。そこで少女や19世紀のイギリス人のエジプト考古学者と…

3人のペスト医師、メルツェルの将棋指しなど妖しげ度、怪しげ度、100%

七番目の仮説 (ハヤカワ・ミステリ 1815 ツイスト博士シリーズ) 作者:ポール・アルテ 早川書房 Amazon 『七番目の仮説』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。 冒頭から妖しげ、怪しげ、全開。真夏のロンドン、午後10時過ぎ。巡回に出たワトキンス巡査の眼に映…

「世紀末」の大英帝国、ダーウィンの進化論が与えた影響

ダーウィンの世紀末 作者:富山 太佳夫 青土社 Amazon ダーウィン ファラデー 昔、書いたのを改訂。 子どもの、ものとりにあったような散乱した机の上に理科の教科書が放置してあった。 表紙に二人の科学者の肖像画。一人の立派なひげづらはダーウィンとわか…

都合の良い、危険な物差し

人間の測りまちがい 上: 差別の科学史 (河出文庫) 作者:スティーヴン・J. グールド 河出書房新社 Amazon 人間の測りまちがい 下―差別の科学史 (2) (河出文庫 ク 8-2) 作者:スティーヴン・J. グールド 河出書房新社 Amazon 『人間の測りまちがい 差別の科学史…

ケレン味増し増し―ツイスト博士、本格ミステリのケレン味は、うま味?くさ味?

虎の首 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1820) 作者:ポール・アルテ 早川書房 Amazon 『虎の首』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。 スコットランドでバカンスを堪能したハースト警部。復帰を待ちかねたかのようにスーツケースに切断された女性の手足が収納さ…

仰せの通りです―ウルフ、ソンタグ、ソルニット、フェミニズムの系譜

説教したがる男たち 作者:レベッカ・ソルニット,ハーン小路恭子 左右社* Amazon アナ・テレサ・フェルナンデスの絵 『説教したがる男たち』 レベッカ・ソルニット著 ハーン小路恭子訳を読む。 タイトルがキャッチ―で内容は男性であるぼくにとっては耳が痛く…

失われし時間を求めて

葦と百合 (集英社文庫) 作者:奥泉 光 集英社 Amazon 『葦と百合』奥泉光著を読む。 カルトを扱った先駆け的作品として高橋和巳の『邪宗門』がある。これは、戦時中に国家から壊滅的な弾圧を受けた大本教団を下敷きにしたものだ。その徹底的な破壊のさまをか…

開かずの部屋は呪われた部屋か―ツイスト博士、難事件に挑む

狂人の部屋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1801 ツイスト博士シリーズ) 作者:ポール・アルテ 早川書房 Amazon 『狂人の部屋』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。 友だち以上恋人未満だったパトリックとポーラ。こともあろうにフランシスとの結婚を控え、二…

出逢い、別れて、見えてくるもの

心のこり 作者:藤堂 志津子 文藝春秋 Amazon 『心のこり』藤堂志津子著を読む。 時々、切ないほどの、恋愛小説が読みたくなる。と、いう感覚は、時々、どうしようもなく甘味処で栗ぜんざいが食べたくなるのと似ている。男だろうが、オジサンだろうが、そうい…