本心を打ち明けることは全裸になることよりも恥ずかしいかもしれない

秋吉久美子 調書 (単行本) 作者:秋吉 久美子,樋口 尚文 発売日: 2020/09/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) 『秋吉久美子 調書』 秋吉 久美子著 樋口 尚文著を読む。 いやはや中身の濃さに圧倒された。 「超ロング・インタビュー」。まったく飽きない。さ…

変則バディもの―ハーリ・クィン&サタースウェイト

謎のクィン氏 (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,嵯峨 静江 発売日: 2012/08/01 メディア: Kindle版 『謎のクィン氏』アガサ・クリスティー著 嵯峨静江訳を読む。 シャーロック・ホームズとワトソン、明智小五郎と小林少年、鬼貫警部と丹那(た…

1941年、南洋群島にて

中島敦 父から子への南洋だより 発売日: 2002/11/05 メディア: 単行本 『父から子への南洋だより』中島 敦 川村湊編を読む。 時折、町の骨董店を冷やかしでのぞく。と、いっても同じ旧いものでも、購入するのはもっぱら本の方であるが。店頭の目玉品コーナー…

ワームホール(虫食い穴)で宇宙へ過去へ未来へ「瞬間移動」

ワームホール:国立科学博物館 宇宙の質問箱より タイムマシンって実現できる?: 理系脳をきたえる! はじめての相対性理論と量子論 (子供の科学★ミライサイエンス) 発売日: 2019/07/01 メディア: 単行本 『タイムマシンって実現できる? 理系脳をきたえる! は…

ファンタジーとミステリーとSFのトリニティ(三位一体)

アリス殺し 〈メルヘン殺し〉シリーズ (創元推理文庫) 作者:小林 泰三 発売日: 2019/04/24 メディア: Kindle版 『アリス殺し』小林泰三著を読む。 リケジョ(理系の大学生)である栗栖川亜理は、このところ『不思議の国のアリス』の夢ばかり見る。ハンプティ・…

文明の進歩が、病原微生物を進化させた

病原微生物の氾濫 作者:アーノ カーレン 発売日: 1996/08/01 メディア: 単行本 『病原微生物の氾濫』アーノ・カーレン著 長野敬+赤松真紀訳を読む。 以前、家族で訪ねたことのあるクアハウスがレジオネラ菌の検査で閉鎖されていることを知った。併設されて…

コールドスリープ(冷凍睡眠)で見る夢は―AIに叛乱を起こした乗組員

6600万年の革命 (創元SF文庫) 作者:ピーター・ワッツ 発売日: 2021/01/09 メディア: Kindle版 『6600万年の革命』ピーター・ワッツ著 嶋田 洋一訳を読む。 『巨星 ピーター・ワッツ傑作選』ピーター・ワッツ著 嶋田洋一訳に掲載されている『巨星』を中…

「踊る熊」はかわいい?かわいそう?

踊る熊たち:冷戦後の体制転換にもがく人々 作者:ヴィトルト・シャブウォフスキ 発売日: 2021/02/27 メディア: 単行本 『踊る熊たち 冷戦後の体制転換にもがく人々』ヴィトルト・シャブウォフスキ著 芝田 文乃訳を読む。 「踊る熊」はブルガリアのロマの伝統…

ウィーンに果つ

ウィーン近郊 作者:黒川創 発売日: 2021/02/25 メディア: Kindle版 『ウィーン近郊』黒川創著を読む。 イラストレーター・西山奈緒は兄優介がウィーンで自死した連絡を受ける。兄は長いウィーン暮しに別れを告げ、日本に帰ることになっていた。直前まで連絡…

いつか読んだ光景

わたしたちが光の速さで進めないなら 作者:キム チョヨプ 発売日: 2020/12/03 メディア: Kindle版 『わたしたちが光の速さで進めないなら』 キム・チョヨプ著 カン・バンファ訳 ユン・ジヨン訳を読む。 まず、タイトルがいいよね。 静かで哀しくて最先端の科…

罪とか罰とか―貧困をすべてのせいにはしたくはないが

終身刑の女 (小学館文庫 ク 8-1) 作者:レイチェル・クシュナー 発売日: 2021/02/05 メディア: 文庫 『終身刑の女』レイチェル・クシュナー著 池田 真紀子訳を読む。 ロミ―・ホールは、ストリップ・クラブ「マーズ・ルーム」のダンサー。シングル・マザーでも…

ビジネスから恋愛まで、ゲーム理論で勝ち抜こう

戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する (中公新書) 作者:梶井 厚志 発売日: 2002/09/01 メディア: 新書 『戦略的思考の技術 ゲーム理論を実践する』梶井厚志著を読む。 最近よく耳にする言葉の1つが「ゲーム理論」である。これは「ゲーム攻略の理論」ではな…

復讐するは我にあり―無駄死にした人々へのレクイエム

バグダードのフランケンシュタイン (集英社文芸単行本) 作者:アフマド・サアダーウィー 発売日: 2020/12/16 メディア: Kindle版 『バグダードのフランケンシュタイン』アフマド・サアダーウィー著 柳谷 あゆみ訳を読む。 毎日のように自爆テロ事件が起こるイ…

言語の原形質とは

皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則 作者:ロジャー ペンローズ 発売日: 1994/12/20 メディア: 単行本 『『皇帝の新しい心―コンピュータ・心・物理法則』ロジャー・ペンローズ著 林一訳を読んだ。 「コンピュータとAI」をテーマにした大著だが、ムズ…

ユートピアとディストピアは紙一重

ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) 作者:小川 哲 発売日: 2017/12/28 メディア: Kindle版 『ユートロニカのこちら側 』小川哲著を読む。 過度なストレスは万病の素だが、ほど良いストレスは長生きの素だそうだ。 「週休3日制」が騒がれているが、もし…

サヴァイバルのためのストラテジー

ヘッピリムシの屁―動植物の化学戦略 作者:ウイリアム アゴスタ メディア: 単行本 今日は過去レビューから。 『ヘッピリムシの屁 動植物の化学戦略』ウィリアム・アゴスタ著 長野 敬他訳を読む。 ジャングルを伐採することになぜ反対するのか。それは、ジャン…

「ミステリ―の女王」が書く「怪奇・幻想」短篇小説

死の猟犬 (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,小倉 多加志 発売日: 2012/08/01 メディア: Kindle版 寒暖差にやられて不調気味だった。熱はないようだ。葛根湯をのんでひたすら眠る。 『死の猟犬』アガサ・クリスティー著 小倉多加志訳を読む。ア…

幻のミステリ作家

幻の女 ――ミステリ短篇傑作選 (ちくま文庫) 作者:田中 小実昌 発売日: 2021/01/09 メディア: 文庫 『幻の女』田中小実昌著 日下三蔵編を読む。 レイモンド・チャンドラーやカーター・ブラウンの作品の名翻訳家だったことを知る前に『平凡パンチ』に載ってい…

最初の『ピアノ教師の生徒』で吸い寄せられる

ラスト・ストーリーズ 作者:トレヴァー,ウィリアム 発売日: 2020/08/09 メディア: 単行本 『ラスト・ストーリーズ』ウィリアム・トレヴァー著 栩木伸明訳を読む。 タイトル通り最後の短篇集。「短篇小説の名手」とは聞いていたが、読むのははじめて。最初の…

チェーホフの『サハリン島』を読もう、読もうと思っていたのに、 違う『サハリン島』を読んでしまった

サハリン島 作者:エドゥアルド・ヴェルキン 発売日: 2020/12/22 メディア: 単行本 『サハリン島』エドゥアルド・ヴェルキン著 北川和美訳 毛利公美訳を読んだ。 核戦争が勃発して鎖国政策をとった日本だけが生き残る。日本は大日本帝国となって世界を制覇す…

おそれイタリアした―名作、怪作、珍作…思った以上に楽しめた

19世紀イタリア怪奇幻想短篇集 (光文社古典新訳文庫) 発売日: 2021/01/12 メディア: 文庫 『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』橋本勝雄編・訳を読む。 編・訳者解説によると、19世紀イタリアはイギリスやドイツに比べて「幻想小説」が盛んではなかったそうだ。…

「肥満男子(ファット・ボーイズ)」とは、どんなシンボルなのか

肥満男子の身体表象: アウグスティヌスからベーブ・ルースまで (叢書・ウニベルシタス) 作者:ギルマン,サンダー・L. 発売日: 2020/09/28 メディア: 単行本 『肥満男子の身体表象: アウグスティヌスからベーブ・ルースまで』 サンダー・L. ギルマン著 小川 公…

AI(人口知能)の此岸―小説も良いがエッセイも素晴らしい

人之彼岸【ひとのひがん】 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:郝 景芳 発売日: 2021/01/21 メディア: Kindle版 『人之彼岸』郝 景芳著 立原 透耶訳 浅田 雅美訳を読む。 テーマはAI。 はじめの『スーパー人工知能まであとどのくらい』『人工知能の時代にい…

ネタバレ注意!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』―きっちりと風呂敷をたたんだ

きっかけは、テレビ東京で夜中に放映していた『新世紀エヴァンゲリヲン』。再放送か再々放送を録画で一気に見た。はまった。もういい年齢だったのに、なんじゃこりゃ。なんじゃこの話は。すっげえ風呂敷の広げ方。と、すっかり庵野マジックにかかってしまっ…

Iのメモリー―『記憶破断者』vs記憶改ざん者

記憶破断者 作者:小林 泰三 発売日: 2015/08/06 メディア: 単行本 『記憶破断者』小林泰三著を読む。 主人公は作者の小説でおなじみの「前向性健忘症」の田村二吉。 記憶が途切れる彼にはデスノートならぬ、忘れませんノートが命綱。なんでもかんでも書き留…

マウス症候群

20XX年、東京都・某シティ。いつ頃からだろうか、ふだん口にしている肉が、クローンマウスの肉だとまことしやかに囁かれだしたのは。かつて有名ハンバーガーチェーンの肉が牛肉ではなく、食用ミミズだと騒がれたが、あれと同じような都市伝説の類なのだろう…

アガサ・クリスティーは名探偵の登場しない短編から読むことにする

リスタデール卿の謎 (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,田村 隆一 発売日: 2012/08/01 メディア: Kindle版 洋の東西を問わず、行き当たりばったりでミステリーを読んでいる。子どものとき、夢中になって読んだ名探偵ホームズや怪盗アルセーヌ・…

温故知新―古ければすべていいというわけじゃないけど

いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ (光文社文庫) 作者:長谷川 宏 発売日: 2007/04/12 メディア: 文庫 『いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ』長谷川宏を読む。 「プラトン、デカルト、パスカル、ルソー、ドストエ…

ぼくには、ニオイが見える

オルファクトグラム(上) (講談社文庫) 作者:井上 夢人 発売日: 2005/02/15 メディア: 文庫 オルファクトグラム(下) (講談社文庫) 作者:井上夢人 発売日: 2013/06/14 メディア: Kindle版 『オルファクトグラム』(上)(下) 井上夢人著を読んだ。 本作の主人公…

止まらない

完全・犯罪 (創元推理文庫) 作者:小林 泰三 発売日: 2012/07/28 メディア: 文庫 くしゃみが止まらない、はなみずが止まらない。小林泰三本も止まらない。 駒沢公園の桜はちょっとだけ咲いていた。 『完全・犯罪』小林泰三著を読む。 ミステリ―&ホラー&SF小説…