2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

元祖何でも見て野郎

ジョージ・オーウェル――「人間らしさ」への讃歌 (岩波新書) 作者:川端 康雄 発売日: 2020/07/18 メディア: 新書 『ジョージ・オーウェル―「人間らしさ」への讃歌』川端康雄著を読む。 190㎝余りの長身痩躯、病弱なのにヘビースモーカー。代表作である『動物…

純文学とSFとエンタメ系が渾然一体、『冬至草』。新作が待たれる作家の一人

冬至草 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) 作者:石黒 達昌 発売日: 2006/06/01 メディア: 単行本 『日本SFの臨界点[怪奇篇]ちまみれ家族』伴名練編のレビューで『雪女』石黒達昌を取りあげた。 昔書いた『冬至草』石黒達昌のレビューをたまたま見つけたの…

「臨床心理士」、沖縄の「野の医者」体当たりレポート

野の医者は笑う―心の治療とは何か?― 作者:東畑開人 発売日: 2017/04/07 メディア: Kindle版 『野の医者は笑う 心の治療とは何か?』東畑開人著を読む。 パワースポットや占いなど根強いスピリチュアルブーム。 「占いはごく身近な治療文化である」「私たちが…

お厚いのはお好き?

ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ 作者:乗代 雄介 発売日: 2020/07/18 メディア: 単行本 『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』乗代雄介著を読む。 版元は国書刊行会。重量級の本を出す出版社ならチャンピオン。最後まで読めるかと思ったら、わりか…

ヒガン前にイーガン

ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF) 作者:グレッグ イーガン 発売日: 2019/03/31 メディア: Kindle版 『ビット・プレイヤー』グレッグ・イーガン著 山岸真編・訳を読む。 グレッグ・イーガンは長篇と短篇を何作か読んだことがある。圧倒されて「すげえ!す…

SFエヴァンジェリストは言う、「読んでくれ」「書いてくれ」と

日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族 (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2020/07/16 メディア: Kindle版 『日本SFの臨界点[怪奇篇]ちまみれ家族』伴名練編を読む。 [怪奇篇]の方が[恋愛篇]よりも個人的にしっくりくる。 埋もれている日本の名作SF短篇を若い読者…

アンソロ爺(ジー)

20世紀ラテンアメリカ短篇選 (岩波文庫) 発売日: 2019/03/16 メディア: 文庫 アンソロジー好きの爺だからアンソロ爺。「広告批評」の天野祐吉のブログのタイトルはあんこ好きだからあんころ爺。非暴力主義の爺はガン爺。デジタル・ガジェット好きの爺はファ…

『ポップス大作戦』で小旅行

ポップス大作戦 作者:花, 武田 発売日: 2020/06/24 メディア: 単行本 『ポップス大作戦』武田花著を読む。久しぶり。著者といえば、モノクロ写真(とりわけ猫)と個性的な文章。なんだけど、この本では初のカラー写真がふんだんに。 陰影を帯びたカラー写真。…

「東京大学「80年代地下文化論」講義」宮沢章夫著の読書メモ兼インスパイアされた事柄

東京大学「80年代地下文化論」講義 決定版 作者:宮沢章夫 発売日: 2015/11/05 メディア: 単行本 昔、書いたの、長いんですが。その頃よりも、withコロナのいま、状況は悪くなっているんじゃないかな。 「おたく」から「OTAKU」へ 「80年代について語ることほ…

「コレラノ作品ヲオ読ミクダサイ」―日本SFナビ本

日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙 (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2020/07/16 メディア: 文庫 『日本SFの臨界点[恋愛篇]死んだ恋人からの手紙』伴名練編を読む。 この手のアンソロジーは、感覚としては隠れた名盤・名曲発掘に近い。編者が述べている…

小説の神様が微笑むまで

マーティン・イーデン (エクス・リブリス・クラシックス) 作者:ジャック・ロンドン 発売日: 2018/09/19 メディア: 単行本 『マーティン・イーデン』ジャック・ロンドン著 辻井栄滋訳を読む。 主人公は貧しい若者。彼・マーティン・イーデンがハイソな年上の…

その男、「プロフェッショナル」につき

男 (講談社文芸文庫) 作者:幸田 文 発売日: 2020/07/13 メディア: 文庫 『男』幸田文著を読む。好みの男性とか男性論とか書いたのかな。まさかと思いつつ読む。 違った。男の職業人、つづめて職人にしてもいい。さまざまな仕事で「プロフェッショナル」であ…

青いソーダ水とコルタサル

遊戯の終わり (岩波文庫) 作者:コルタサル 発売日: 2012/06/16 メディア: 文庫 『遊戯の終わり』コルタサル著 木村榮一訳を読む。 コルタサルの幻想小説、奇想小説の魅力ってなんだろう。 あり得ないことがあり得る、あり得た。しかも、それがポップ(仮)だか…

驟雨 修道院 シュークリーム 

寺田寅彦と現代 新装版 作者:池内 了 発売日: 2020/05/22 メディア: 単行本 ものすごい入道雲を見た。驟雨、スコールのような雨が降る。ひと雨来ても涼しくはならない。 物理学者でありながら夏目漱石の高弟だった男 『寺田寅彦と現代 新装版』池内了著を読…

暦の上ではセプテンバー

生命の臨界―争点としての生命 発売日: 2005/02/01 メディア: 単行本 近所の給水管付け替え工事の騒音に負けずに、企画案を練る。 『生命の臨界 争点としての生命』松原洋子・小泉義之編を、つらつらと。みずみずしい、いいカバー写真だと思ったら鬼海弘雄で…