2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧
『ウォークス-歩くことの精神史-』レベッカ・ソルニット著 東辻賢治郎訳を読む。 人間は歩く、すなわち二足歩行することで脳が発達して、知的にも進化した。また、歩くことはストレスを発散して、脳を活性化する効果があるとも。 作者は歩くことをさまざま…
『彼女のことを知っている』黒川創著を読む。 主人公は現在作家。50代になったいま、自身の恋愛体験や性について振り返る。父親として娘に赤裸々に語りたいのだが。1970年代から2020年代までの連作集。 『彼女のことを知っている』ライターだった「私」に突…
『モダンのクールダウン』稲葉振一郎著を読む。 いろいろ抜書きしたいところもあるが、文学関係は、割愛して、このあたりを、見つくろって。 「いわゆる「近代」とは、すべての人々を一人前の「人間」、「立派な人間」にしようという夢に取りつかれた時代で…
ちょっと前だが、びっくらこいた記事。 courrier.jp って、ソローキンの小説みたいじゃん。 で、この記事を読んで『迫り来る革命 レーニンを繰り返す』ジジェク著につながると思って紹介。 この本では、レーニンの再評価(?)をいかにもジジェクらしい表現…
菊地成孔の『歌舞伎町のミッドナイト・フットボール―世界の9年間と、新宿コマ劇場裏の6日間』を読む。刺激的な言葉のインプロヴィゼーションが前頭葉をバリバリバリと刺激する。 作者は、山下洋輔のバンドに二度参加している。しかし、「ポスト全冷中」世代…
『捜査』スタニスワフ・レム著 深見弾訳を読む。 スコットランド・ヤードの警部補グレゴリイが主人公。スコットランド・ヤードと聞くと、ミステリーファンは胸を躍らせるだろう。彼が依頼された捜査は、最近頻繁に起こる連続遺体盗難事件。冒頭部、ハードボイ…
『本の幽霊』西崎憲著を読む。 本や本に関連する不思議な6つの短篇集。最近は本への執着もなくなってしまったが、10代から20代の頃の自分を思い出させてくれる。文学少年や文学少女とかは、もはや死語になったのだろうか。何篇か紹介。 『本の幽霊』本のデザ…
『オイスター・ボーイの憂鬱な死』ティム・バートン著を読む。 いっときTVCMのプランニングの仕事で随分ツタないラフコンテを描いていた。広告代理店やTVCMプロダクションで打ち合わせをする時、何人ものプランナーや演出家が同席して各自、自分の持…
『偽悪病患者』大下宇陀児著を読む。 作者は江戸川乱歩らと肩を並べる「日本探偵小説黎明期」の「巨匠」の一人だそうだ。その短篇集。手替え品替え、人間のあさましさ、いやらしさを抉った小説巧者ぶりとモダンさを感じる。何篇かのあらすじと感想らしきもの…
成瀬巳喜男監督の『晩菊』を見る。いやあ辛口の映画でした。 元芸者の三人の女性の芸者を卒業した後の生き方。一人は独身で高利貸(杉村春子)。もう二人(細川ちか子と望月優子)はいっしょに暮らしているが、掃除婦だけでは暮らしが厳しく、つい昔のよしみで借…
『みんな一緒にバギーに乗って』川端裕人を読む。 新米保育士・田村竜太奮戦記。保育園を舞台に、センパイの保育士、同僚のイケメン要領のいい保育士やそこに通っているさまざまな個性の子どもたちといまどきの親たちなど、日々の交流がリアリスティックに記…
『三木鶏郎回想録』三木鶏郎著を読む。 大昔、『ほぼ日刊イトイ新聞』で三木鶏郎のことが取り上げられていた。興味のたんこぶがぷうっとふくらんで、何気なくいきつけの図書館でネット検索してみたら、『三木鶏郎回想録』が蔵書であった。図書館はこうでなく…
『寺田寅彦随筆集』(岩波文庫)の第一巻目を読む。 科学者でありながら名エッセイストの誉れ高き作者のありようは、大げさにいえば、理と文系の統一のさきがけ。作者にならえば科学と芸術か。文学の師が、夏目漱石。 最初の『どんぐり』でKOされた。亡き妻と…
『なぜ通販で買うのですか』斎藤駿著を読む。 「猫は液体」という『通販生活』のCMが最近のお気に入り。わが家の猫トリオも、金魚鉢に入るだろう、きっと。 で、『通販生活』を出している『カタログハウス』の前社長が著した新書のレビューを昔、書いていた…
『The S.O.U.P.』川端裕人著を読む。 作者はデビュー作である『夏のロケット』では、ロケット。『リスクテイカー』では、ヘッジファンド、次の『ニコチアナ』では、タバコ及びタバコ産業について書いている。本作ではインターネットについてである。 『S.O.U…