2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

男を食いものにする。マジ

ピュア 作者:小野 美由紀 発売日: 2020/04/16 メディア: Kindle版 『ピュア』小野美由紀著を読む。 韓国小説にはフェミニズムをテーマにしたSFがある。日本の小説だとぱっと浮かぶのが村田沙耶香。村田沙耶香の世界をさらに過激にしたのが本作かな。 「ピュ…

ベリーベリーブラッドベリ―日本オリジナル初期短篇集

黒いカーニバル (ハヤカワ文庫SF) 作者:レイ ブラッドベリ 発売日: 2013/09/05 メディア: 文庫 『黒いカーニバル』レイ・ブラッドベリ著 伊藤典夫訳を読む。初期の作品集。ファンタジックなSF作家の巨人と思われるが、この本には奇想的なものとホラー的なも…

男の闇日記ならぬ病み日記 ほか

オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選 (光文社古典新訳文庫 Aモ 2-4) 作者:モーパッサン 発売日: 2020/09/09 メディア: 文庫 『オルラ/オリーヴ園 モーパッサン傑作選』モーパッサン著 太田浩一訳を読む。モーパッサン、初読かも。虫食い読み、世界文学。 …

やりきれない

魂の労働―ネオリベラリズムの権力論 作者:渋谷 望 発売日: 2003/10/01 メディア: 単行本 「魂の労働―ネオリベラリズムの権力論」渋谷望著を読んだ。よくまとまっていて、読みやすい。オツムのいい大学生または院生が書いたようなデキのいいレポート。が、読…

オオサカといえばなおみ、ぼくの場合、最近オオサカといえば圭吉

死の快走船 (創元推理文庫) 作者:大阪 圭吉 発売日: 2020/08/12 メディア: 文庫 『死の快走船』大阪圭吉著を読む。鮎川哲也編『怪奇探偵小説集1』で大阪の『幽霊妻』を読んだのが最初。 作風の異なる15の作品。ピッチャーなら七色の変化球というが、作家はど…

「二項対立」には眉唾(まゆつば)と「アイロニー」で

「分かりやすさ」の罠―アイロニカルな批評宣言 (ちくま新書) 作者:仲正 昌樹 メディア: 新書 「「分かりやすさ」の罠―アイロニカルな批評宣言」仲正昌樹著の読書メモ。 あれか、これかとすぐ判断や踏み絵を求められるいま。保守-革新、大きな政府-小さな政府…

言葉にできるものと言葉にできないもの、そのはざまで

理由のない場所 作者:リー,イーユン 発売日: 2020/05/19 メディア: 単行本 『理由のない場所』イーユン・リー著 篠森ゆりこ訳を読む。 16歳で自死した息子。鬱病から自殺未遂をしたことのある母親。対象喪失を乗り越えようとしたのか作家である母親はこの作…

変わった?変わらない?

“フェミニン”の哲学 作者:後藤 浩子 発売日: 2006/04/01 メディア: 単行本 「<フェミニンの哲学>」後藤浩子著を読んだ。 「はじめに」でこんな文章と遭遇する。 「「フェミニズムって何ですか」―これは、簡単なようでいて、私にとってはもっとも手ごわい、…

妖怪人間と怪獣

怪獣篇 群猫/マタンゴ (SFショートストーリー傑作セレクション 第二期) 発売日: 2020/08/03 メディア: 単行本 YouTubeで『妖怪人間ベム』を見るのが、最近の楽しみ。子どものとき、見ていたのだが、改めて見ると、かなり怖い。ここ数年好きになってゴースト…

『銀の仮面』と同様に本作でも人間の嫌な一面をこれでもかとひんむいている

暗い広場の上で (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 作者:ヒュー・ウォルポール 発売日: 2004/08/10 メディア: 新書 『暗い広場の上で』ヒュー・ウォルポール著 澄木柚訳を読む。 頃は第一次世界大戦後、年末。ところは花のロンドン・ピカディリーサーカス。や…

堕ちていく男。名前はビリー・ブレイク

冷たい雨。キンモクセイのオレンジ色の花が路上に。 囁く谺 (創元推理文庫) 作者:ミネット ウォルターズ メディア: 文庫 『囁く谺』ミネット・ウォルターズ著 成川裕子訳を読む。 ロンドンのある邸宅のガレージに潜り込んだホームレスが餓死した。名前はビリ…

『ウイルスVS人類』―VSは正しいのか

ウイルスVS人類 (文春新書) 作者:瀬名 秀明,押谷 仁,五箇 公一,岡部 信彦,河岡 義裕,大曲 貴夫,NHK取材班 発売日: 2020/06/19 メディア: Kindle版 『ウイルスVS人類』瀬名秀明 押谷仁 五箇公一 岡部信彦 河岡義裕 大曲貴夫 NHK取材班を読む。NHKBS1の『BS1ス…

「自然という古文書を読み解く」

絶滅恐竜からのメッセージ―地球大異変と人間圏 (Wac bunko) 作者:松井 孝典 発売日: 2002/03/01 メディア: 単行本 『絶滅恐竜からのメッセージ 地球大異変と人間圏』松井孝典著を読む。 恐竜はなぜ絶滅したか。ご存知のように実にさまざまな説がある。「哺乳…

なぜか、なぜか

悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫) 作者:コルタサル 発売日: 1992/07/16 メディア: 文庫 『悪魔の涎・追い求める男他八篇―コルタサル短篇集』コルタサル著 木村榮一訳を読む。『秘密の武器』『遊戯の終わり』コルタサル著 木村榮一…

三題噺 コルタサル ミケランジェロ・アントニオーニ チャーリー・パーカー

秘密の武器 (岩波文庫) 作者:コルタサル 発売日: 2012/07/19 メディア: 文庫 『秘密の武器』コルタサル著 木村榮一訳を読む。 『母の手紙』ルイスは兄のフィアンセ・ラウラを横取りして結婚。パリで暮らしている。兄は死んだのに、ブエノスアイレスに住む母…