2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆとりを奪う「ゆとり教育」って

学力があぶない (岩波新書 新赤版 712) 作者:大野 晋,上野 健爾 岩波書店 Amazon 『学力があぶない』大野晋、上野健爾著を読む。 子どもの通う区立小学校では、年に何回か授業公開日というのがある。昔でいうところの授業参観日だ。前回の公開日での、子ども…

高福祉、高負担の北欧諸国は、なぜ幸福度も高いのか

『資本主義の宿命 経済学は格差とどう向き合ってきたか』橘木俊詔著を読む。 富裕者と貧困者の格差はさらに拡大している昨今。「日本の相対的貧困率は15.4%」だそうだ。資本主義における「富と貧困」の問題に対して「アダム・スミスやマルクス、ケインズから…

プー太郎の少年のトキ殲滅犯罪計画

ニッポニアニッポン 作者:阿部和重 講談社 Amazon 『ニッポニアニッポン』阿部和重著を読む。 ゲームでいうところの一本道のようなストーリー。このスタイルがやがて『シンセミア』になるのか。 トキが種の保存のために、日本産の純血ではなく中国産のトキの…

作家になるまで・作家を休止するまで

増補 夢の遠近法: 初期作品選 (ちくま文庫 や 43-2) 作者:山尾 悠子 筑摩書房 Amazon 『増補 夢の遠近法 -初期作品選-』山尾悠子著を読む。 「自作解説」が貴重。評論家が類推・分析したんじゃなくて本人が解説して手の内をあかすのだから、ありがたい。以…

神町黙示録―圧倒された。ただただ圧倒された

シンセミア(上) (講談社文庫) 作者:阿部和重 講談社 Amazon シンセミア(下) (講談社文庫) 作者:阿部和重 講談社 Amazon 『シンセミア』(上)(下)阿部和重著を読む。 圧倒された。ただただ圧倒された。作者の出身地である東北の小都市、山形県東根市神町を…

ボサノヴァ・デー

ザ・ボサノヴァ アーティスト:オムニバス,ナラ・レオン,オス・カリオカス,ドリス・モンテイロ,タンバ・トリオ,ルーシオ・アルヴィス,エリス・レジーナ,カルロス・リラ,オス・ガトス,アントニオ・カルロス・ジョビン,ディック・ファルネイ ユニバーサル Amazo…

野上弥生子という生き方。そこにあるもの

翔ぶ女たち 作者:小川公代 講談社 Amazon 『翔ぶ女たち』 小川公代著を読む。 メインは、小説家・野上弥生子。いわゆる古き良きハイソな知識人とか、高齢で亡くなるまで健筆をふるったとかは知っている。法政大学総長となった「夏目漱石門下の野上豊一郎と結…

新閨房哲学-見沢氏はかく語りき

囚人狂時代 (新潮文庫 み 27-1) 作者:見沢 知廉 新潮社 Amazon 『囚人狂時代』見沢知廉著を読む。 ただ単純に面白かった。かなり強烈にきた。作者の実体験に基づく手記なのだが、警察の取り調べや調書のまとめ方、刑務所のシステムや囚人人物列伝(ムショで…

「生きのびる政治学」は「教室」ばかりか、会社、業界、近所つきあいなどにも、使える

教室を生きのびる政治学 (犀の教室 Liberal Arts Lab) 作者:岡田憲治 晶文社 Amazon 『教室を生きのびる政治学』岡田 憲治著を読む。この本が、ぼくの十代の頃にあったなら、随分助かったろう。救われたろう。 響いた文章の一部をランダムに引用していく。 …

プレゼンは、弱い人間が、自分を武装する手段

自分プレゼン術 (ちくま新書 264) 作者:藤原 和博 筑摩書房 Amazon 『自分「プレゼン」術』藤原和博著を読む。 プレゼンテーションというと、ドラマやTVCMのように、液晶プロジェクタの画面越しに、立板に水のごとく、弁舌滑らか、横文字バンバンといっ…

「ひとつ曲がり角 ひとつ間違えて 迷い道 くねくね」

結婚帝国 女の岐れ道 作者:上野 千鶴子,信田 さよ子 講談社 Amazon 『結婚帝国 女の岐(わか)れ道』 信田さよ子 上野千鶴子 共著を読む。 知的な漫才とでもいえばいいのだろうか。ハイレベルなアドリブの応酬。あ、ポッドキャストもいいかも。 いまどきの三十…

再び脚光を浴びている「ロシア宇宙主義」って何?

ロシア宇宙主義 河出書房新社 Amazon 『ロシア宇宙主義』ボリス・グロイス編 乗松亨平監訳 上田洋子訳 平松潤奈訳 小俣智史訳を読む。 ロシア宇宙主義もしくはロシア宇宙主義者とは。 「19世紀末から20世紀初頭、キリスト教の歴史が破綻し、死後の彼岸の世界…

「待つわ」は、あみん。「待つぜ」は、郵便局員のフロレンティーノ

コレラの時代の愛 作者:ガブリエル・ガルシア=マルケス 新潮社 Amazon 『コレラの時代の愛』ガルシア・マルケス著を読む。 郵便局員のフロレンティーノと令嬢フェルミナは恋人同士だった。配達される手紙ばかりか、愛も受け取ったのだ。しかし、結婚は、当然…

風化させないこと、忘れないこと

別れを告げない (エクス・リブリス) 作者:ハン・ガン 白水社 Amazon 『別れを告げない』ハン・ガン著 斎藤真理子訳を読む。 ハン・ガンは『少年が来る』で光州事件をテーマにした。『別れを告げない』では、済州島4・3事件がテーマ。 作家である「私(キョン…