プレゼンは、弱い人間が、自分を武装する手段

 

 

『自分「プレゼン」術』藤原和博著を読む。

 

プレゼンテーションというと、ドラマやTVCMのように、液晶プロジェクタの画面越しに、立板に水のごとく、弁舌滑らか、横文字バンバンといったイメージを抱きがちだが。

 

「プレゼンテーションは、弱い人間が、自分を武装する手段だ」と、作者は述べている。本書はビジネスはもちろん、プライベートでも、自分自身を上手にプレゼンするためのスキルが満載である。よく「一期一会」といわれるが、せっかく出会えたんだから、自分の第一印象を強くアピールしたい。そのために、作者は数々の工夫を凝らしている。

 

たとえば名刺ひとつとっても、点字付きの名刺にしたり、顔写真入りの名刺ならば、仏頂面はつまらないとプリクラを貼ったりとか。初対面の人でも、話がひろがるきっかけづくりを上手に実践している。これならば、話下手な人でも今日から実行できるはず。

 

話は冒頭に戻るが、流麗な話と完璧な部厚い企画書だから、プレゼンに勝てるかというと、そうではない。その方法を惜しげもなく公開している。決してうまくはないが、自分の考えをとつとつと伝え、手書きの数枚の簡単な企画書でも、クライアントの意向を十分にとらえたチャーミングな提案ならば、勝利の女神は時として微笑むことを、改めて確認することができた。

 

また、プライベートでの自分「プレゼン」術としては、年賀状やホームページの構築方法など懇切丁寧に紹介している。ホームページを作ってみたものの、なかなかアクセスが増えずに悩んでいる人から、これからサイトを立ちあげたい人にも大いに参考になる。

 

作者はいわゆるポスト団塊の世代である。世代の特徴としては、「仕事と家族をバランスよく大事にする価値観を持ちながら、どこか公共的な価値(パブリック・バリュー)を重んじるようなところもあります」。個人と個人のネットワークをひろげるのにも、この自分「プレゼン」術は必須だと思う。


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