2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「コンバンハ、ラジオノ前ノリスナーノミナサン、オ元気デスカ」

DJヒロヒト 作者:高橋 源一郎 新潮社 Amazon 『DJヒロヒト』高橋 源一郎著を読む。 分厚いが、読み出したら、面白くて、面白くて。『日本文学盛衰史』のスタイルを、さらに発展させた感じだそうだ。にしても、膨大な資料(著作や記事など)を読み込んで、そこ…

「産環業革命」から「環業革命」へ

環業革命 作者:山根 一眞 講談社 Amazon 『環業革命』山根一真著を読む。 「地球温暖化による人類の滅亡-それが防げるかどうかというギリギリの瀬戸際で、意識ある科学者、技術者、企業、そして自治体や大学が必死に新しいエコ時代の構築に向かっている」 …

そもそもの計画が失敗だったのか、スペースシャトル

増補 スペースシャトルの落日 (ちくま文庫 ま 38-1) 作者:松浦 晋也 筑摩書房 Amazon 『増補 スペースシャトルの落日』松浦晋也著を読む。 野口さんで久々に話題になったスペースシャトルだが、そもそもの計画自体が失敗だったと。失敗どころか、スペースシ…

テクスト(text)のテクスチャー (texture)―ボルヘス織

シェイクスピアの記憶 (岩波文庫 赤792-10) 作者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス 岩波書店 Amazon 『シェイクスピアの記憶』 J.L.ボルヘス著 内田兆史訳 鼓直訳を読む。 落語の大師匠が晩年、高座に立つだけで贔屓筋はありがたいと思うだろう。たとえ噺が、自身の…

エロスとタナトスの間に

さだめ (河出文庫 ふ 4-6) 作者:藤沢 周 河出書房新社 Amazon 『さだめ』藤沢周著を読む。 藤沢周、石井隆、日活ロマンポルノ。別に三題噺ではないのだが。本作は、タイトル通り、ファム・ファタール(運命の女)ものである。一気に読み終えてから、以前どこ…

構造主義の奥の細道

構造の奥 レヴィ=ストロース論 (講談社選書メチエ 800) 作者:中沢 新一 講談社 Amazon 『構造の奥 -レヴィ=ストロース論-』中沢 新一著を読む。 大昔、哲学科の学生だったとき、サルトルらの実存哲学に代わって新しい哲学・思想界のチャンプになっていたの…

「ファンダム」=「推し活」が民主主義を変える

実験の民主主義 トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ (中公新書) 作者:宇野重規,若林恵 中央公論新社 Amazon 『実験の民主主義 -トクヴィルの思想からデジタル、ファンダムへ-』宇野 重規著 若林 恵 聞き手を読む。 著書『アメリカのデモクラシー…

ブルックナー讃―非凡なる平凡か、平凡なる非凡か

ブルックナー譚 (単行本) 作者:高原 英理 中央公論新社 Amazon 『ブルックナー譚』高原英理著を読む。 いわゆる評伝はノンフィクションゆえ、史実や資料に基づいた枠というか枷がある。小説家である作者は、評伝が書いてはいけない領域に踏み込んでブルック…

「そうだ 京都、行こう。」「なのにあなたは京都へゆくの」

エスケイプ/アブセント (新潮文庫) 作者:秋子, 絲山 新潮社 Amazon 『エスケイプ/アブセント』絲山秋子著を、読む。 相変わらずも裏街道人生をいく40歳の男が主人公。60年代生まれなのに、なぜか過激派になって地下潜伏、逮捕、入獄。人生のいいところをオシ…

子どもからの、郷里からの、親からの卒業

奇蹟のようなこと (幻冬舎文庫 ふ 19-1) 作者:藤沢 周 幻冬舎 Amazon 『奇蹟のようなこと』藤沢周著を読む。 少年がはじけるまでの瞬間を捉えたみずみずしい短篇連作集である。尾崎豊は「自由からの卒業」と歌っていたけど、本作の主人公にとっては「子ども…

ムダはムダじゃない。ムダははぶかれるものじゃない

ナマケモノ教授のムダのてつがく 作者:辻信一 さくら舎 Amazon 『ナマケモノ教授のムダのてつがく -「役に立つ」を超える生き方とは-』辻信一著を読む。 確か、「スローライフ」の提唱者、文化人類学者で、大学の先生でもあった著者の本をはじめて読んだ。…

幽霊百景―幽モア、幽トピア、幽アンドミー

いろいろな幽霊 (海外文学セレクション) 作者:ケヴィン・ブロックマイヤー 東京創元社 Amazon 『いろいろな幽霊』ケヴィン・ブロックマイヤー著 市田 泉訳を読む。 イタロ・カルヴィーノ短編賞受賞作家による幽霊譚。2頁で一話。計100話。みながみな怖いわけ…