男を食いものにする。マジ

 

ピュア

ピュア

 

 


『ピュア』小野美由紀著を読む。

韓国小説にはフェミニズムをテーマにしたSFがある。
日本の小説だとぱっと浮かぶのが村田沙耶香
村田沙耶香の世界をさらに過激にしたのが本作かな。

 

「ピュア」
近未来の地球。環境汚染が止まらず、子孫繁栄のための出産に危機を抱いた「国家連合」は、女性の遺伝子を改良する。その結果、環境汚染への耐性を持てるようになり、さらに「平均身長2メートル」「鱗に覆われた体」となった。
体格も能力も男性を凌駕するようになった女性は好きな男性を捕獲するようになった。
セックスしたことを「食う」と言うが。ここでは、妊娠するために女性が男性の肉体を
食べてしまう。メスのカマキリが交尾中や交尾後ににオスのカマキリを食べてしまうように。洋物ポルノ小説ばりの描写は、マウントを取ってタコ殴りする格闘技を思わせる。


「バースデー」
「夏休み」後、「親友が性転換して男」になった。そういう話は知ってはいるが、身近に起こるとは。「元の姿に戻っただけだ」と言うが。それまでの女性同士の友情とはやはり違う。この違和感。戸惑う「私」。

 

「To the Moon」
「月人」という異星人は、大昔月から地球に来て「人類と交わった」。「月人の遺伝子が色濃く残る人」もいて「17歳頃」急速に「月人化」、月へ行かなければならない。つーか、地球で生きるのはしんどい。友人「朔希」もその症状が出た。私を月に連れてってと願うが。本作には関係ないが、かぐや姫は「月人」だったのか。

 

「幻胎」
父親は優れた生物学者で「生命科学研究所の所長」。娘・ゼスは父の後を追って科学者に。同じ研究所勤務。父親は優秀な卵子から人工子宮による出産するプロジェクトに着手。その目的は「未来の人類の始祖を作る」。ゼスも卵子を提供。人工子宮で成長する胎児。母という実感はわかない。娘はいわゆるファザーファッカー。大好きで大嫌いな父。二人には秘密があった。

 

「エイジ」
主人公エイジは母親の顔を知らない。生誕後「人工保育器」で育てられたから。この時代の男はみなそうだ。で、「遺伝子検査によってランク付けされる」。おお優生学じゃん。最下層ランクの彼は工場で働いている。「地下書庫」が最近の息抜きの場所。快楽のためのセックスや自慰は禁じられている。男性は「精子の提供者」。セックスは人生最後のご褒美。射精後、女性に食べられるから。生と死の交換。オーウェルの『1984年』やザミャーチンの『われら』につながるディストピア小説

 

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