ミス・マープルのデビュー作 13の短篇集

 

 

つらつらと読むアガサ・クリスティー短篇集。

『火曜クラブ』アガサ・クリスティー著 中村妙子訳を読む。

 

作者の作品ではエルキュール・ポアロと並んで人気のミス・マープルのデビュー作品。
甥のレイモンドや元警視総監や画家、女優など仕事も年齢も異なる人たちが
ミス・マープルの家に火曜日に集まる。
そこでは誰かが挙げた迷宮入りの事件や不思議な事件について
各自推理して真相や真犯人を探る。

 

何せ『火曜クラブ』のメンバーは自信や自慢の推理で他の者の鼻を明かしたいのだが、
決して出しゃばることなく理路整然と話して最後に持っていくのはミス・マープル

 

趣味が編み物と人間観察という彼女。
眼や耳に入る情報は真贋を仕分けして人物ファイルを脳内につくっているのだろう。
で、決して口外はしない。時と人によってはデスノート風だったりして(個人的感想)。
頭で推理する印象が強いが、意外にも行ける範囲は行って調査しているようだし。


今読むとオチが弱かったり、古かったりと思うかもしれないが、
きっちりと過不足なくいろいろなテイストの短篇に仕立てられている。

何篇かあらすじとか感想とかを。

 

『火曜クラブ』
まずは挨拶代わりに『火曜クラブ』の面々の人となりや経歴を。最初の話は夫婦ときれいな家政婦の3人が夕食にエビの缶詰の料理を取る。それが当たったようで妻が亡くなる。「プトマイン中毒」と診断され、埋葬された。しかし、殺人だった。真犯人と動機を当てたミス・マープルの見事な推理に感服。

 

『アスタルテの祠(ほこら)』
牧師の大学時代の友人リチャード・ヘイドがなかなか買い手のつかなかった屋敷を購入し、牧師らを招待した。屋敷からは「石器時代後期の遺跡」が見える。「石でできたあずまやのようなもの」を「アルテミスの祠」と命名した。仮装舞踏会を催した夜、リチャード・ヘイドが殺される。翌日、いとこのエリオット・ヘイドンも同じ場所で殺される。動機は男の嫉妬。ちょっとオカルテイックな作品。

 

『舗道の血痕』
コーンウォールの風変わりな小さな村テトール」。そこでスケッチに励んでいたジョイス・ランプリエール。写生に夢中になっていた、。気がつくと白い石畳の舗道に血痕を描いていた。実際「血がしたたっていた」。しばらくして彼女が現場を確認しに行くと血痕はなかった。その理由を解明するミス・マープル

 

『二人の老嬢』
ドクター・ロイドがカナリア諸島で遭遇した事件を話す。その地で見かけた二人のイギリス人の中年女性。翌日、浜辺に行くと大騒ぎ。海水浴に出かけた彼女たちが溺れて一人が亡くなった。ところがこの様を目撃していた人によると、一人の女性がもう一人をむりやり海に沈めていたとのこと。ドクターは後年オーストラリアでその女性と偶然再会する。再会したのは亡くなった女性の方だった。


13は不吉な数字といわれるが、あえて13篇にしたのは、意味があるやなしや。

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