センス・オブ・ワンダーがキラキラ

 

となりのヨンヒさん

となりのヨンヒさん

 

 

『となりのヨンヒさん』チョン・ソヨン著 吉川凪著を読む。
行間からセンス・オブ・ワンダーがキラキラしている。
 
まあカテゴリーでいえばSF短篇集。
ハードなんだけど、なんか
ポップでオタクっぽいSFアニメって感じがする。
押井守の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とか。
あるいは、吾妻ひでおのSF不条理漫画の絵が浮かぶ。
何せおっさんなもんでのお。
美少女と気味悪い宇宙生物のひとコマ。
 
ちょっとだけ感想。
 
『デザート』
 
しょっぱなの作品に面食らう。だってデザートとつきあっている女の子が出て来る。
彼がデザート?しかも、移り気らしくて次々とつきあうデザートが変わる。
はは、スイーツのトレンドみたいだね。
日本だったらモテモテだった「タピオカ」くん、そろそろ人気に陰りが出るころ。
 
『宇宙流』
 
一転、少女がアクシデントにも負けずに夢をかなえる話。囲碁がキーとなっている。
セカイ系というと誤解されるか。宇宙系。まんまだ。
これは十分長篇になる作品だと思うが。
 
『アリスとのティータイム』
 
アリスは『不思議の国のアリス』じゃなくってアリス・シェルドン。
ペンネームは、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア
作者が強い影響を受けたというジェイムズ・ティプトリー・ジュニアは、
「実は女性で」「SF小説ジェンダーフェミニズムなどのテーマを盛り込み」
サイバーパンクSFの先駆者」の一人だそうだ。
彼女の生涯を踏まえて、時制を超えてリスペクトやまないアリス・シェルドンと対話する。
 
『となりのヨンヒさん』
 
運よく一等地の格安物件に入居できた「高校で美術を襲えている講師」。
事故物件ではないが、おとなりさんは異星人だった。
名前は地球人(韓国人)風だが。
はじめは奇異な容貌に腰が引けていたが、次第に親近感を増していく。
でも…。
異星人はぼくたちがなんとなく排除したがる対象のメタファーと見ると
意味が深くなる。外国人、民泊施設、幼稚園、老人ホーム、火葬場などなど。
 
『最初ではないことを』
「中国に語学研修」に行った友人が謎の伝染病にかかる。
危険な手術を受けることになったが。
新型コロナウィルスが蔓延している今とリンクして困る。