『ウイルスVS人類』―VSは正しいのか

 

 

『ウイルスVS人類』瀬名秀明 押谷仁 五箇公一 岡部信彦 河岡義裕 大曲貴夫 NHK取材班を読む。NHKBS1の『BS1スペシャル ウイルスVS人類』の2回シリーズをもとにまとめたもの。

TVのニュースや特集、新聞、ネットニュースなどで新型コロナウイルスに関する情報は
得ていたはず。ある程度知っていたはず。この本を読むことで
断片、断片ではなく全貌を知ったり、再確認することができた。何か所か引用。

 

「わかりにくい、見えにくい」「新型コロナウイルスによる感染症の特徴」

 

押谷 この新型コロナウイルスによる感染症の特徴は、非常にわかりにくい、見えにくいところにあります。―略―この感染症では、無症候感染といって、感染しても症状が出ない人、症状が軽い軽症者がかなり多くいるのが特徴です。そして、無症状の感染者は自覚がないままに感染を広げてしまう危険性が高い。―略―2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)ではほとんどの感染者が重症化したので、感染者とそうでない人を見分けることが容易だった」

インフルエンザはすぐに高熱が出て薬により抑えられるが、新型コロナウイルスは発症まで時間がかかる。で、十分に対策を講じてもクラスター感染することがある。タチが悪い。まさに大釜を手にした死神のようだし。

 

「人類が自然環境を破壊」することが「新しいウイルス」を覚醒させる

 

五箇 新しいウイルスはどこから来ているかというと、野生動物から由来しているものが非常に多いと考えられています。―略―なぜこうしたことが起きているか。要は、我々人類が自然環境を破壊して、生き物たちの世界に踏み入ることで、野生生物たちが持っているウイルスに接触する機会がものすごく増えているからなんです」

 

 五箇は、地球温暖化により永久凍土が溶けだすことでいままで封印されていた未知のウイルスが出現する可能性もあげている。

 

新型インフルエンザの対策では新型コロナウイルスには通用しない

 

瀬名 新型インフルエンザと新型コロナウイルスは、本当はまったく別の考え方をしなければならなかったはずなのに、これまでの新型インフルエンザなどの前例に引っ張られた面があるわけですね。ある意味で、過去の教訓に頼りすぎた」
押谷 そうなんです。新型インフルエンザでは大規模感染が起きても、ワクチンや抗ウイルス薬もあり、被害軽減が可能だった。しかし、今回の新型コロナウイルスはやるべきこと、対策の方向性が全然違う。―略―感染拡大を防ぎ続けるのが最も有効な対策であり、そのために行動制限などが必要となっているのです」

 

 行動経済学でいわれているように人は前例にとらわれがち。管轄省庁を横断した統括部門が必要だとも。

 

押谷 実は、これまでのところ新型コロナウィルスの制限を非常にうまくやっているのは、シンガポール、香港、台湾など、いずれもSARSの感染を体験した国々なんです。―略―SARSの体験が活きていて、きちんと対応できる体制をつくっていたということだと思います。たとえばシンガポールはすべてに病院でPCR検査ができる体制がすでに出来上がっていました」

 

日本の新型コロナウィルスの死亡率の低さは、きれい好き、靴を脱いで家に入る、握手やハグをしない習慣性などだといわれていたが、

押谷 日本の医療システム、医療レベルの高さを示すものでしょう」

と。結局、そういうことだよね。


新型コロナウイルスのワクチンについて

 

河岡 ―略―重要なのはワクチンができるかできないかではなく、どれだけの人に打てるかという量の問題だと思います」

 

新型コロナウイルスパンデミック」に必要なもの

 

瀬名 シンパシー(共感)とエンパシー(感情移入)。―略―シンパシーとは「寄り添う」ことであり、エンパシーは「思いやり」ではないか。―略―シンパシーとエンパシーのバランスこそが真の「人間らしさ」をつくる。シンパシーは個人の心を救い、エンパシーは人類を救う」

ウィズコロナ、アフターコロナ、ポストコロナという言葉をよく見るが。
コロナを戦争にたとえられるが、抗戦や反戦ではなく非戦ということなのだろうか。


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