2025-01-01から1年間の記事一覧

ぼくの考具。最新ヒット商品をつくるネーミング辞典

ネーミング辞典 PART2 Gakken Amazon 忘れた頃に、ネーミングの仕事が舞い込んでくる。ネーミング作業は、黙々と室内でランニングマシンの上を走るのと似ている。 最近では、業務支援ソフトや若い女性向けのクレジットカードやおつまみ、お菓子のネーミング…

『火炎人類』よりも講演「惑星間人類?」にグッとひかれた

火炎人類 (ちくま文庫) 作者:オラフ・ステープルドン 筑摩書房 Amazon 『火炎人類』オラフ・ステープルドン著 浜口稔編訳を読む。 短編小説もよかったが、講演「惑星間人類?」。意外にもこれがいちばん印象に残った。 「火炎人類――ある幻想」オックスフォー…

進化、深化、新化、真価

からだの美 作者:小川 洋子 文藝春秋 Amazon 『からだの美』小川洋子著を読む。 鍛えられた部位は美しさを持っている。トップアスリートや棋士などで著者がフェティッシュな魅力を感じるところを書いたもの。たとえば、「イチローの肩、羽生善治の震える中指…

1億2千万人の著作権

著作権の考え方 作者:岡本 薫 岩波書店 Amazon 『著作権の考え方』岡本薫を読む。 インターネットなどITの普及にともない著作権も、どんどん身近なものになってきた。それまで著作権というと、「プロのもの」、メディア側のものというイメージが強かったが…

もっと長くても全然OKっすよ

秘儀(上)(新潮文庫) 作者:マリアーナ・エンリケス,宮﨑真紀 新潮社 Amazon 秘儀(下)(新潮文庫) 作者:マリアーナ・エンリケス,宮﨑真紀 新潮社 Amazon 『秘儀』(上・下)マリアーナ・エンリケ著 宮崎真紀訳を読む。 これまで著者の2冊の短編集を読ん…

「共同性を持たない者たちの共同性」と『メゾン・ド・ヒミコ』

メゾン・ド・ヒミコ [DVD] オダギリジョー Amazon 不思議なもので数日前、「共同性を持たない者たちの共同性」について思案していたら、昨夜、犬童一心監督の『メゾン・ド・ヒミコ』のDVDを見ていたら、そこにヒントのようなものが出ていた。 ゲイたちの終の…

チタンの義足の院長、その名はガーリン

ドクトル・ガーリン 作者:ウラジーミル・ソローキン 河出書房新社 Amazon 『ドクトル・ガーリン』ウラジーミル・ソローキン著 松下隆志訳を読む。 『吹雪』の主人公ドクトル・ガーリンの再登場。つっても、話の関連性は、ない。凍傷によりチタンの義足を両脚…

辛いは、うまい。癖になりそな辛口エッセイ

「競争相手は馬鹿ばかり」の世界へようこそ 作者:金井 美恵子 講談社 Amazon 『「競争相手は馬鹿ばかり」の世界へようこそ』金井美恵子著を読む。 相も変わらずの辛口エッセイ。単なる悪口、罵詈雑言ではなく、読ませてしまうあたりは、芸というのか、技とい…

欲望のあいまいな対象

女は何を欲望するか? (角川oneテーマ21) 作者:内田 樹 KADOKAWA Amazon 『女は何を欲望するか?』内田樹著を読む。 「『フェミニズムは正しい、でも間違っている』というあいまいなポジションにいる」作者の視座から繰り出されるのは、いつもながらの名調子…

「流動性と多様性」のせめぎ合いもしくは分断化

波状言論S改: 社会学・メタゲ-ム・自由 作者:大澤 真幸 青土社 Amazon 『波状言論S改―社会学・メタゲーム・自由』を読む。 東浩紀、北田暁大、鈴木謙介の若手学者(発刊当時)に宮台真司、大澤真幸が絡む。鼎談形式は対談よりなんつーか一人多い分、ゆるさが出…

さよなら、人類。よろしく、ニュータイプ

滅亡するかもしれない人類のための倫理学 長期主義・トランスヒューマン・宇宙進出 (講談社選書メチエ) 作者:稲葉振一郎 講談社 Amazon 『滅亡するかもしれない人類のための倫理学 -長期主義・トランスヒューマン・宇宙進出-』稲葉振一郎著を読む。 人類を…

変、本能寺の変、変

去年、本能寺で 作者:円城塔 新潮社 Amazon 『去年、本能寺で -The virtual city of Nobunaga-』円城塔著を読む。 日本の歴史にSFを利かせたメタフィクション。しかも、著者は元々理系の人ゆえ、そのあたりの知識も踏まえて煙にまく。いい意味でのほら話。…

チェーホフと葛西善蔵

チェーホフ全集 全12巻セット (ちくま文庫) 作者:チェーホフ 筑摩書房 Amazon 小島信夫が取り上げていたチェーホフの『曠野』を読み出す。 借りたのは、筑摩書房版チェーホフ全集の一冊なんだけど、テープどめしてある月報に書いてあった阿部昭のエッセーが…

超能力犬のやりきれない哀しみと怒り

シリウス (ちくま文庫す-26-3) 作者:オラフ・ステープルドン 筑摩書房 Amazon 『シリウス』 オラフ・ステープルドン著 中村能三訳を読む。 より速く走るために品種改良されたのが、サラブレッド。「「ブルベイティング(牛と犬の戦い)」という見世物」用に…

道路や堤防はかさ上げできても、人々に空いた心の穴は、埋められていない

熊はどこにいるの 作者:木村紅美 河出書房新社 Amazon 『熊はどこにいるの』木村紅美著を読む。 東日本大震災から7年後。町や港は一応復興したように見えるが、そこに住む人々に空いた心の穴は、埋められていない。 DVから避難した女性のためのシェルター「…

自分を責めない。自分を肯定しない

なぜ人は自分を責めてしまうのか (ちくま新書) 作者:信田さよ子 筑摩書房 Amazon 『なぜ人は自分を責めてしまうのか』信田さよ子著を読む。 コロナ禍、対面がタブー視され、居酒屋などは経営の維持にナンギした。著者が主催しているカウンセリングセンターも…

文芸評論家、時事評論家になる!?

絶望はしてません ――ポスト安倍時代を読む (単行本) 作者:斎藤 美奈子 筑摩書房 Amazon 『絶望はしてません -ポスト安倍時代を読む-』斎藤美奈子著を読む。 女性の書き手で悪口が芸に思えるというと、まず、金井美恵子。次が、著者と勝手に思っている。文…

マレーグマのソリアと最年少の動物保護ボランティア・チャーンと

ソリアを森へ: マレーグマを救ったチャーンの物語 (翻訳絵本シリーズ) 作者:チャン・グエン 鈴木出版 Amazon 『ソリアを森へ -マレーグマを救ったチャーンの物語-』 チャン・グエン作 ジート・ズーン絵 杉田 七重訳を読む。 「ベトナムの自然保護活動家チ…

人間って、社会って、ほんとうに進歩してるの、つーか進歩ってなに。教えて、ジジェク先生

「進歩」を疑う なぜ私たちは発展しながら自滅へ向かうのか (NHK出版新書) 作者:スラヴォイ・ジジェク NHK出版 Amazon 『「進歩」を疑う なぜ私たちは発展しながら自滅へ向かうのか』 スラヴォイ・ジジェク著 早川健治訳を読む。 久々のジジェク。 ジジェ…

「彼女 好き?好き?大好き? 彼 うん 好き 好き 大好き」

好き? 好き? 大好き? (河出文庫) 作者:R・D・レイン 河出書房新社 Amazon 『好き?好き?大好き?』R.D.レイン著 村上光彦訳 を読む。読んだ気になって、実は読んでいなかった本の一冊。 精神分析医だった著者が、さまざまなセラピーから傾聴したクライエン…

ワークフェアって「ワーク(労働)とウエルフェア(福祉)の合成語」だそうだ

ワーク・フェア―雇用劣化・階層社会からの脱却 作者:山田 久 東洋経済新報社 Amazon 本棚の奥から「GRAPHICATION162」」が出て来た。「GRAPHICATION」は富士ゼロックスの企業広報誌なんだけど、読みでのあるPR誌だった。とっくに廃刊。ネット古書店だといい…

ヴィトゲンシュタインが生きていたら、ツイートするだろうか

ツイッター哲学 別のしかたで (河出文庫) 作者:千葉雅也 河出書房新社 Amazon 『ツイッター哲学 -別のしかたで-』千葉雅也著を読む。 ヴィトゲンシュタインをはじめて読んだのは、大学の友人が教えてくれたから。いわゆる哲学書は、文章が長くて難解で手も…

ネコは液体、ネコは抱きたい

ネコは(ほぼ)液体である ネコ研究最前線 作者:服部 円 KADOKAWA Amazon 『ネコは<ほぼ>液体である -ネコ研究最前線-』服部 円著 子安 ひかり監修を読む。 たとえば、ネコは人間の言葉がわかるのか。ネコ好きはわかると思う。うちのネコならわかっている…

『めぞん一刻』+『美味しんぼ』あるいは孤独じゃないグルメ

四維街一号に暮らす五人 作者:楊双子 中央公論新社 Amazon 『四維街一号に暮らす五人』 楊双子著 三浦裕子訳を読む。 台湾好きの妻といっしょに録画しておいた台湾の旅番組を見ることがある。で、台湾で戦前に建てられた日本家屋がレトロ感覚なのだろうか、…

「国語にとって文学とはなにか」あるいは「文学にとって国語とはなにか」

「国語」と出会いなおす 作者:矢野利裕 フィルムアート社 Amazon 『「国語」と出会いなおす』矢野利裕著を読む。 「「文学」ファンは、「文学」と「国語」とを切りはなして考えてしまいがちですが、多くの人にとって「文学」は「国語」の延長にあるのです。…

虚構ならぬ嘘構。嘘で構築するから嘘構なのか、嘘の構えだから嘘構なのか

虚傳集 作者:奥泉光 講談社 Amazon 『虚傳集』奥泉光著を読む。5篇からなる「偽書歴史小説集」。読んでいると「偽」が「真」に思えるリアリティ。こりゃあ面白いと、ゆっくり読むことにする。かいつまんで内容を。 『清心館小伝』幕末の江戸。剣術ブームで町…

サビにわさび―「わさびスルフィニルという成分には、 優れた抗酸化作用がある」

Nutrient Library-9 わさびの健康・美容力 栄養書庫(株式会社ニュートリエントライブラリー) Amazon 『ワサビの健康・美容力 ムック』を読む。 いつぞやの朝日新聞を眺めていたら、金印という名古屋のわさび会社の全5段広告が目に入ってきた。 「わさびに含…

読んでいる本をのぞかれるのと、弁当をのぞかれるのとでは どちらが恥ずかしいだろうか。ぼくは前者

そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所 作者:松浦 寿輝 新潮社 Amazon 『そこでゆっくりと死んでいきたい気持ちをそそる場所』松浦寿輝著を読み出す。短編集または断片集。作者所蔵の銅版画を配した、らしい装丁。 作者は「女が書けていない」と、…

殺そうと思っていた杉森くんは、死んでしまった

杉森くんを殺すには 作者:長谷川まりる くもん出版 Amazon 『杉森くんを殺すには』 長谷川まりる著 おさつ 装画・挿絵を読む。 主人公・ヒロは高校一年生。と杉森くんは、大の仲良しだった。杉森くんといっているが、女の子。自分が嫌いなのか、女性性が嫌い…

納豆は夜食べる派?朝食べる派?

納豆入門 (食品知識ミニブックスシリーズ) 作者:渡辺 杉夫 日本食糧新聞社 Amazon 『納豆入門 (食品知識ミニブックスシリーズ) 』渡辺杉夫著を読む。 日経bp経由インターワイヤードのデータ(同社が7月に行なった公開調査「納豆に関するアンケート」)によると…