妖怪人間と怪獣

 

 

YouTubeで『妖怪人間ベム』を見るのが、最近の楽しみ。
子どものとき、見ていたのだが、改めて見ると、かなり怖い。
ここ数年好きになってゴーストストーリーをいろいろ読んでいるが、
そのあたりを踏まえてまあ良くできている。
「早く人間になりたい」がキメの台詞だが、ならない方がいいんじゃないかな。

 

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『SFショートストーリー傑作セレクション 怪獣篇 群猫/マタンゴ日下三蔵編を読む。お目当ては『マタンゴ』。昔、レンタルビデオで見たが、原作はどうなのかと。以下、短い感想などを。

 

『群猫』筒井康隆
はじめに都会の全景。とある高層ビルからどんどん地下に下る。短いフレーズによるリズミカルでテンポの良い描写。いちばん底の世界。下水道。そこは人外魔境化している。支配者は「巨大な盲目の白い鰐バクー」。仲間を食われた「白い盲目の群猫」が
延々とバトルしている。戦闘シーンは『ガンバの大冒険』を思わせる。もっとも、『ガンバ~』は、ネズミたちとイタチのノロイとの戦いだけど。
実際に毛細血管のような都会の下水道では何かがはびこっていたり、戦っていても不思議ではない。

 

『仕事ください 』眉村卓
ドラえもん」がほしいと思ったのは、ぼくだけではないだろう。この作品では「奴隷が欲しい」と思ったサラリーマンにほんとうに奴隷が来た。律義な奴隷はご主人様であるサラリーマンに次々と命令をお願いする。そのしつこさ、過剰さ。確かにモンスターだ。やけくそとなってとんでもないことを命じる。最後のシーンがもの哀しい。


『弱点』星新一
漁師が引き上げ、研究所に運んできた「白い大きな玉」。「宇宙生物の卵」と見当をつける。玉が割れると「醜悪なヘビ」状の生物が。煮ても焼いてもビクともしない。
そして次々と卵を産む。宇宙へ捨てることを考えるが、宇宙船製造には時間がかかる。
弱点はないのか。あった。そのオチがきいている。SF好きな落語家の新作落語のよう。

 

マタンゴ福島正実
編者解説によると「ウィリアム・ホープ・ホジスンの短篇『闇の海の声』を翻案したもの」だそう。
嵐でヨットが流されて南の島に漂着した6人の男女。人はもちろん鳥や虫もいない不気味な島。難破船を発見する。そこにはコケではなくキノコが繁茂している。難破船で食糧を見つけるが、次第に食べ物がなくなってくる。仲間割れ、いさかいが始まる。食べ物がない。キノコがある。食べてはいけないキノコだった。
幻覚作用のあるキノコもあるが、マタンゴを食べた男女にはどんなおそろしい副作用が。

 

『黴』小松左京
宇宙から地球各地にやってきた謎の物体。「落下した跡」はあるが、隕石ではない。
霧のような「白煙」のような塊から「煙を吹き出し、トラックをとかし、とかした鉄を吸いこんでいる」。周辺には「刺激臭と熱気」が。謎の物体は「増殖」する。どうなる、地球。短篇だけど作者らしい大スケールさが楽しめる。

 

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