おはぎを食べてレムの短篇を読む

 

 

『短篇ベスト10』スタニスワフ・レム著 沼野充義 ・ 関口時正・久山宏一 ・ 芝田文乃 訳を読む。

レムというと長い、難解がつきもの。その短篇集ってどうだろう。
これが手変え品変え、いろんなテイストが楽しめる。
ハードな作風もいいが、ブラックだったり、風刺がきいたもの、ロボットのエンタメ系など多彩。

ちょっとだけさわりを紹介。
 
『三人の電騎士』

氷や石英などがキーワードのSF風メルヘンタッチの作品。出て来るキャラがどことなくユーモラス。「連作集」らしいのでeテレあたりでアニメではなく人形劇で見てみたい。
 
『航星日記・第二十一回の旅』

未読の「泰平ヨン」シリーズからの作品。舞台は「二十七世紀」。宇宙、テクノロジーの進化、宗教などを
テーマに描かれている。「星史」の新生物の奇怪、珍妙な図版が読み手の想像力をいっそうかきたててくれる。
 
『洗濯機の悲劇』

2社の洗濯機メーカーが競い合うように全自動洗濯機を開発、製品化する各社、新機能や過剰な付加価値をつける。派手な宣伝をする。ところが、たぶんいまでいうAI搭載の賢い洗濯機は暴走しはじめる。物質文明つーか資本主義社会や便利を標榜するヤカラを揶揄する結構なドタバタコメディ。『息吹』テッド・チャン著 大森望訳の『デイジー式全自動ナニー』とともに好きな作品。
 
『仮面(マスク)』

短篇よりも中篇。華やかな「宮廷舞踏会」のシーンなどクラシックな幻想文学の濃厚な匂いがする。オペラにでもなりそうなほどの悲恋物語。この手のものがうまいとは、意外