菊地成孔の『歌舞伎町のミッドナイト・フットボール―世界の9年間と、新宿コマ劇場裏の6日間』を読む。刺激的な言葉のインプロヴィゼーションが前頭葉をバリバリバリと刺激する。
作者は、山下洋輔のバンドに二度参加している。しかし、「ポスト全冷中」世代なので、当時はタモリにも筒井康隆にも会ったことはないそうだ。「全冷中」を知らない人は、自分で調べるように。
作者はホラ吹きならぬサックス吹きで東大の講師で文筆家(この本ではそうなっている)。
いまはおしゃれなラーメン屋とかで、コルトレーンなどがBGMで流れる。たぶん有線放送のジャズチャンネルだと思うが、底辺が広がったのか、ジャズへの冒涜なのか。
「ジャズは好きだけど、ジャズファンは嫌いだ」近親憎悪かヤマアラシのジレンマか。
「ジブリのアニメは好きだけど、ジブリファンは嫌いだ」など、大抵のものにあてはまる。使ってよし。
ただロックとジャズじゃ、聴くときの神経が違うような気がする。ぼくはどっちとも好きなので優劣はつけがたい。カッコ良さが違うといってもいいだろう。最初はオーソドックスなモダンジャズに魅かれていたが、次第にフリージャズに魅かれていった。
マイルス・ディヴィビスのクールさよりはオーネット・コールマンやサン・ラのハチャメチャ(これも死語だな)ぶりがよくなっていた。
作者は新宿・歌舞伎街のホテルにカン詰めになって原稿を書く。歌舞伎町の描写がなかなか。風林会館そばの喫茶店のものすごさ。最近、すっかり、ごぶさただけど、エスカレートしてるんだろうな。
プロフィールのラストの一行、「小説家菊地秀行の実弟」は、もう削除して構わないだろう。
TBSラジオ「菊池成孔の粋な夜電波」を愛聴していた。サックス吹きでありながら歌も歌う。コントも書く。演じる。ポッドキャストとかで再開してくれないだろうか。