仲良くケンカしな―CMソングやアニメソングは、ここからはじまった

三木鶏郎回想録


    

三木鶏郎回想録』三木鶏郎著を読む。


大昔、『ほぼ日刊イトイ新聞』で三木鶏郎のことが取り上げられていた。興味のたんこぶがぷうっとふくらんで、何気なくいきつけの図書館でネット検索してみたら、『三木鶏郎回想録』が蔵書であった。図書館はこうでなくちゃ。こういう本を借りるヤツは滅多にいない。


で、前編の「青春と戦争と恋と」を借りて、早速読み出す。どうしてこんなに昔のことを細部まで覚えているのだろう、こういう人たちは。

 

作者は父親が開業弁護士の長男として裕福な家庭に生まれる。絵に描いたような戦前の東京・山手の中産階級の暮らしがそこにある。お坊ちゃん学校暁星学園からバンカラ浦和高校、神童のはずなのに浪人を重ねて東京帝国大学法学部に進学する。音楽、文学、映画、スキーなど当時の文化を満喫、友人たちからさまざまな刺激を吸収して、いわば「冗談音楽」など後年への下地をつくる。

 

関東大震災から日本が軍国主義に染まっていく中、作者も士官候補生となる。そこでもなぜか音楽がついてまわる。そういう風に運命はできているのかもしれない。ここでの悲恋のエピソードが、ほんとうに西洋の恋物語にもヒケをとらないほど、劇的。

 

おまけのCDがついていて、「日曜娯楽版」や「冗談音楽」が聞くことができる。実際に耳にするのは、たぶん、はじめて。諷刺が強烈なことは強烈で、よくこの内容が放送OKになったなと思うが、(逆にそのことで1951年当時の自由の度合いがわかる)やはり音楽とギャグが毒を中和しており、それが笑いの清涼剤的効果を果たしている。

 

子どもの時、好きだった『ひょっこりひょうたん島』の諷刺加減に似ている。ググッてみたら、『ひょっこりひょうたん島』で素晴らしい音楽を提供していた宇野誠一郎は、
三木鶏郎門下であった。

 

CDはそのあとはヒット曲集で『僕は特急の機関士で』以下ポップでモダンな鶏郎ワールド。CMソングやアニメの主題歌も数多く手がけている。『ほぼ日刊イトイ新聞』で知ったのだが、アニメ『トムとジェリー』も作者の作詞・作曲によるもの。オリジナル曲に日本語の歌詞をつけたと思っていた。糸井重里大瀧詠一が歌詞の一部である「仲良くケンカしな」を賛辞していたが、確かに民主主義の理想形のようなものだ。

ランダムにyotubeで作者の楽曲をピックアップ。中高年の方には、うけると思うのだが。

 


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