『居残り佐平次』が川島雄三の『幕末太陽伝』のネタもとであったとは

 

 

志ん朝の『居残り佐平次』をCDで聴く。
江戸弁の語りの小気味よさ、テンポの良さに引き込まれて、
品川の遊郭にタイムスリップしてしまった。
この噺が、川島雄三の『幕末太陽伝』のネタもとであることは、つゆ知らず。

 

郭にすかんぴんで居座り続け、持ち前の要領の良さや機転で、
女郎やしまいには主人にまで気に入られるあたりは、
植木等の『無責任男』シリーズに通じるものがある。
『幕末太陽伝』では、佐平次はフランキー堺が演じていた。
大の落語好きで知られる彼の妙にエネルギッシュな演技が光っていた。


川島監督はオチとして佐平次が、結核か肺病に冒されていて余命いくばくもないことを
知らしめていた。同郷の作家太宰治にならえば、コメディとトラジティは裏表。
底抜けの明るさの中にある自己への不安、世紀末という時代の不安を物語っていた。

 

小林信彦の『日本の喜劇人』によると、この映画はB級というか添え物だったらしい。
フランキー自身も後々、評判をとるとは思ってなかったようだ。
適度に肩の力を抜いてラクに演じている、
それが飄々としたキャラに拍車をかけることになった。

 

もちろん志ん朝のできも素晴らしい。
志ん朝といえば、四谷三丁目にある高級ふりかけのCMにずうっと出演していた。
二十代中ごろ、その店の前を何度も通っていた。勤めていた会社がそばにあったので。

youtubeにあった!お時間のある人はぜひ!

 


  

 

 

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