『第四の扉』ポール・アルテ著 平岡敦訳を読む。
作者に関する何の知識も与えずに、いきなり、ゲラかなんかで本作の部分を
読まされたら、昔に書かれたゴースト・ストーリーとかミステリと思うだろう。
ダーンリー夫人が屋敷で謎の自殺をした。
有能なビジネスマンだった夫ダーンリー氏は、ショックの余り、
ひきこもり状態となる。
屋敷の部屋を貸し出すが、借り手がすぐに立ち退く。
屋敷には幽霊が出ると噂される。
ダーンリー夫人の息子ジョンの友人であるジェイムズやヘンリーは、何かと気遣う。
新たな間借り人ラティマ―夫妻は霊能者。一同を集めて降霊会を開くが。
すると今度はヘンリーの父親である作家のアーサーが襲われる。ヘンリーも行方不明。
どこまで呪われているのだろう、事件は終わることがない。
死体らしきものを担いだ男など怪しげな情報が飛び交う。
ジェイムズはロンドン警視庁の警部ドルーに捜査を依頼する。
名探偵ばりの独創的な推理をするのだが。
ヘンリーが消えてから3年後、ダーンリー夫人は自殺ではなく、
他殺だとパトリック・ラティマ―が言い出す。密室殺人か。
ジェイムズたちは再検証する。ダーンリー夫人が亡くなった部屋に男の死体が。
ヘンリー?
再びドルー主任警部参上。「心理学者」と呼ばれる彼の推理なのだが。
そこへ殺されたと思われたヘンリーが現れる。
殺されたのは、彼の「相棒ボブ・ファー」だと言う。
ドルーは、ヘンリーと「脱出芸の王」フーディニーの心理の類似性を取り上げる。
なぜ?とまあ「謎が謎呼ぶ殺人事件」(by「林檎殺人事件」作詞:阿久悠)。
さらに、さらに、その部屋に二体の死体が。誰?犯人は一体誰?
作者は「幕間」を設けてメタフィクションする。この小説の作者と「犯罪学の大家」ツイスト博士との『第四の扉』の書かれる経緯や経過を語っている。
んで、やはり、「最後の一行」。真っ逆さまに落とされる。
ネタバレになるんで書けないが。もう最後の最後まで頭がグルグル。
謎解き、謎明かしに徹頭徹尾こだわった
ネオゴシックホラー風味の「新本格ミステリ」。