町中華、中華SF

 

 

時差通勤で早出の人なのだろうか。朝の電車、ホワイトカラー率が高い。

 

『月の光 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編 大森望・中原尚哉他 訳を読む。いろんなテイストの中国SFが味わえる。


お気に入りの数篇のあらすじと感想を。

 

「おやすみなさい、メランコリー」夏笳(シアジア)/中原尚哉訳
AIロボットぬいぐるみノッコとリンディ。ノッコは「赤ちゃんアザラシ」、リンディは「人間の赤ちゃん」。家族となった彼女たちとの暮らしとAIの創始者アラン・チューリングの話が交互にサンドされている。彼は「晩年に人と会話できる機械をつくって、これをクリストファーと名付けた」早世した同性の恋人の名前。
機械は残っていないが「二箱分の記録紙が残っている」。作者は、アラン・チューリングとクリストファーがどんな「対話」をしていたかをイメージ、再現する。ま、Siriの先がけのようなものか。チューリングはクリストファーに詩を書かせたりする。「愛してる」と言うと「愛してる」と言う。はたしてそれはどこまで理解しているのだろうか。

 

サリンジャー朝鮮人」韓松(ハン・ソン)/中原尚哉訳
北朝鮮が世界を征服したというディストピアもの。要塞のような邸宅に引きこもったサリンジャーも、北朝鮮政府についに家を追われ、ホームレスとなって路頭に迷う。その大胆な発想に舌を巻く。

 

「金色昔日」宝樹(バオシュー)/中原尚哉訳
中学時代に出会った男女。天安門事件で亡くなった恋人。彼は違う中学時代の同級生と結婚する。ところが、生きていた。実際の歴史軸を踏み越えて、時代に翻弄される時間SFラブストーリー。結構、胸に迫るものがある。毛沢東サルトル蒋介石タイムパラドックス、さかしまの時間が流れている。

 

始皇帝の休日」馬伯庸(マー・ボーヨン)/中原尚哉訳
かの秦の始皇帝がゲーマーだったら…。ゲームに夢中になっている皇帝。ところが、やはり、上手くなくてなかなかクリアできない。となると皇帝だから、自分の腕前ではなくてゲームが良くないと。わがままな皇帝は画期的なゲームのプレゼンを命じるが。
殿様、貴族、高僧などいろいろ広がる。


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