100文字の深淵なる大宇宙

 

100文字SF (ハヤカワ文庫JA)

100文字SF (ハヤカワ文庫JA)

 

 

ピーター・バラカンのラジオで聴いたフリートウッド・マック(つーか故ピーター・グリーン)の『ブラックマジックウーマン』に、はまる。
おすそ分け。

Fleetwood Mac Peter Green - Black Magic Woman (Live Boston Tea Party) 1970


Fleetwood Mac Peter Green - Black Magic Woman (Live Boston Tea Party) 1970

 

『100文字SF』北野勇作著を読む。

 

SFのようで、ホラーのようで、アフォリズムのようで、童話のようで、散文詩のようで。
ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』に似たものもある。

 

好きなのを1作だけ引用。

 

「突如として知性を持った大量の餅たちが人類を支配する。人類は餅たちを増やすために餅つきを強制され、しかしその価値によってかろうじて生き残るが、自ら開発した餅つき機にその地位を奪われ、絶滅することになる」


100文字だからすぐ読める。しかし、読みながら、読んでから、その世界に入り込む。
作品によっては、底なし沼のように深くて、からみつかれる。
ほんとうに溺れるのはダメだけど、イメージなら溺れてしまえと。

 

100文字って思いつきだけで書いて楽々クリアする。
ところが、掲載された200篇は、断片ではなくて小説になっている。
いわば小さな大宇宙。

 

この本、表紙も裏表紙も他著紹介もみんな100文字。
なんだ、このこだわり方は。

 

NHKのアナウンサーの原稿を読むスピードが確か60秒で400字。
100字だと15秒。
15秒というとTVCMのスポットCMが15秒。
ラジオCMだと通常は20秒。5秒とかもあるけど。

だからか、すんなりと入る。
いまどきのヤングはTVをあんまり見ないらしいからピンとこないかも。

 

PCが普及して手書きではなくてタイピングになった。
メディアの主体が紙からWebになったこともあるのか、
やたらテキストが長く、冗長になった。

読書量は減っているのに文字を読む量は増えているそうだ。
SNSだろうね。

wired.jp

テキスト増量時代を逆手に取った作者らしい作品。

今後ここから長篇にふくらんだものが出るならば、
それもぜひ読んでみたい。

 

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