新訳で再びこわい!こわい!

 

 『消えた心臓/マグヌス伯爵』M・R・ジェイムズ著 南條竹則訳を読む。

『好古家の怪談集』の新訳。紀田順一郎訳で読んだが。

 

『消えた心臓』
孤児となった従兄弟の少年を引き取ることになった「ケンブリッジ大学ギリシャ語教授」。異教への造詣も深く、屋敷にはおびただしい関連する書物やコレクション。
少年は教授の世話をする夫人と親しくなる。
少年が来る前にも少女や少年を世話していたことを知る。
ある朝、目覚めると少年の寝巻に「裂け目や引っ搔き傷」が。覚えはない。
少年は教授に引き取られた恐ろしい理由を知る。どうする、少年。
映画化するならアリ・アスター監督でお願いしたい。

 

『銅版画』
ウィリアムズ氏に送られてきた銅版画(メゾチント画)。
描かれた「荘園邸宅」がどこにあるのか気になる。
昨日は銅版画の描かれた屋敷の前にいた人物が、見えない。
閉まっていた窓が開いている。なんなんだ。
邸宅になにか謂れでもあるのか。

 

『秦皮(とねりこ)の木』
魔女は秦皮(とねりこ)の木のそばで暮らし、魔女のホウキの柄は

秦皮(とねりこ)だったとか。
宗教裁判で魔女と認められ「絞首刑」となった女性。
魔女という証言をした「邸宅の所有者」は代々似たような不審な死を遂げる。
彼女を葬った棺を開けると空っぽ。
館にある秦皮(とねりこ)の巨木。その空洞(うろ)を見ると何かいる。
その正体は。


『マグヌス伯爵』
スウェーデンで古い教会を訪れたラクソール氏。そこには奇怪な「最後の審判の絵が飾られていた」。
そして「荘園邸宅」で資料的価値のある「古文書」を見つける。
その中の一冊にマグヌス伯爵が「黒の巡礼」について書き込みがあった。
止せばいいのに、ラクソール氏は学問の探求心と好奇心が相まってそれを知ろうとするが。
禁忌にふれる、冒す。なんだか映画『ミッドサマー』を彷彿とさせる。
こちらも映画化するならアリ・アスター監督でお願いしたい。

 

『若者よ、口笛吹かばわれ行かん』
怪談アンソロジーに欠かせない作者の代表的な作品。
せっかくのバカンス。宿泊先のホテルでとんでもないことに。
見えない怪物に襲われる。まさか。でも。

 

訳者解説によると、作者は「中世学者」。
「写本研究」と「聖書外典アポクリファ)の研究」に秀でていたと。
これらの豊富な知識が怪談により深みを与え、ハクをつけている。

 

併せて読むとちょういい感じ。

 

soneakira.hatenablog.com

 

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