豊かな読書

女の足指と電話機―回想の女優たち

女の足指と電話機―回想の女優たち

『女の足指と電話機』虫明亜呂無著を読む。
作者の書いたものをまとめて読むのは、はじめてで、震えた。
作者の嗜んできた知性や教養、感動などの豊かさの
お相伴にあずかって読み進む、
読書の醍醐味ではなかろうか。
ぼく的には、今年読んだ本のうちでも上位にランキングされた。
作者といえば、FM東京の「渡辺貞夫マイディアライフ」内の
ラジオCM「虫明亜呂無ブラバスエッセイ」を思い出す。
12chかなんかの映画解説もしていた。
スポーツをテーマにすると、
ノンフィクションスタイルの持って回った言い回しか、
汗臭い、感動の大安売り的なものが多い中、
作者のは、明らかに違う。
スポーツを体育、フィジカルなものから
美学、時にはエロティックの次元まで高めている。
短めのフレーズの連なりは、テンポとリズムを生み、
吟味された言葉は、直接、頭に飛び込んでくる。
アスリートも女優もサラブレッドも作者には
美しいしなやかな対象物(オブジェクトあるいはフォルム)として等価なのだろう。
走るために生まれてきた。踊るために生まれてきた。
演じるために生まれたきた。
このような素晴らしいエッセイ集を編纂した
編者の高崎俊夫に多々感謝。


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