1月1日と2日の朝は、日本酒を吞むことにしている。
父、義父、叔父など酒呑みの故人を偲んで。
ほんとは、吞みたいから。
アマプラで映画『スパークス・ブラザーズ』を見る。
スパークスは兄弟変態バンドとか音楽センスの良さなど
うっすらとは知っていたが、当人たちが出演しているドキュメンタリー。
意外だったのは、彼らがアメリカ西海岸出身だったこと。UCLAで学んだそうな。
そのひねりやねじくれ具合は、てっきり、イギリスのバンドだと思っていた。
兄弟や関係者、スパークスファンのロックミュージシャンのコメント。
テンポの良さとアニメーションなどを取り入れたしゃれた映像が飽きさせない。
兄ロンと弟ラッセルのメイル兄弟。
ロンのちょび髭は、ヒトラーかチャップリンを彷彿とさせる。
ヴォーカリストの弟はイケメン。ビジュアルも音楽もステージも確信犯なわけ。
ヒット曲が出ると、その亜流的楽曲でヒットの連発を狙う。
でも、柳の下にドジョウはそうはいないわけで。
ところが、彼らは、常に新しい変化をめざしている。
産みの苦しみもあるが、それがレコードセールスに結びつかないこともしばしば。
時代的に早すぎてファンがついていけない。
レコード会社は、売れているバンドにはへこへこするが、
いったん売れなくなると手のひら返し。
楽曲はつくるが、売り先がないと収入がない。
やけになってドラッグや酒に溺れてダメになっていくというロックスターとが違って、
それまでの貯えを切り崩しながら、新曲づくりに励む。
恐るべきストイックさと執念。
スパークスの音楽の変遷は、勉強になる。
テクノポップ好きのぼくとしては、ジョルジオ・モロダーと組んだアルバムがいい。
コーラスやヴォーカルの多重録音は、クイーンを思わせる。
映画好きの彼ら。なんとジャック・タチと組む。ところが、タチの病死でボツ。
ティム・バートン監督と漫画のアニメーション化の話も、監督降板でボツ。
彼らの原案が、ようやくレオス・カラックス監督『アネックス』で結実する。
兄弟の日常生活は規則正しい。
哲学者カントの日々の散歩のように。
ナンバーワンよりオンリーワンというSMAPの「世界に一つだけの花」の歌詞が
口をつく。