もし人類がテレポートできるようになったら

 

 

『スター・シェイカー』人間六度著を読む。

 

「21世紀晩年」。人間がWB(ワープボックス)によって自在にテレポート(瞬間移動)できるようになった。運転免許のようにテレポートもライセンス制になっている。モータリゼーションからテレポータリゼーションへ。


交通機関はもとよりロジスティクスまで大げさに言うなら社会インフラが一新した。
荒廃した高速道路が、その象徴か。WBってぶっちゃけ、藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』の「どこでもドア」だよね。


赤川勇虎は事故でテレポート能力を喪失してしまう。ある日、街で少女と出会う。彼女は何者かに追われているようだった。家出娘?勇虎は子猫を拾うように嫌がる彼女を部屋に連れて帰る。

 

彼女の名はナクサ。なぜ「麻薬密売組織」から逃げ出したのか。「地球を貫通して移動できる」数少ないテレポーター「対蹠者(たいせきしゃ/ペネトレーター)」だった。そして姫だった。

ナクサはほっとていと言うが、ほっとけない勇虎。当然、彼もリスクに巻き込まれ、彼女ともども組織から追われることとなる。

 

二人は逃避行を続けるが、避けられずに闘うことも。さまざまなバトル、要するに殺戮を経験して勇虎は、やがて覚醒。ナクサと地球の危機を救う。

 

このテレポートを禁止しようとする大きな動きが、彼らを狙う。ネタバレになるんで詳しくは言えないが、テレポートにはメリットもあるが、実はそれ以上に大きなデメリットがあった。

 

もしアニメーションやゲームや実写映画だったら、手持ちカメラを多用した疾走感のあるシーンの連続になるだろう。見る人の体調が良くないときは酔ってしまうかもしれない。

 

ともかく作者のあふれた思いがテキストに憑依して過剰と思えるほどの描写。「21世紀晩年」の東京のシーンやグッドスピード兄弟などの登場人物、異種格闘技風バトルシーンなどなど。


映画、漫画、小説。わかるネタ元、わからないネタ元。くどいと思う反面、それが作品に迫力をもたらせている。

 

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