「・(ナカグロ)」がみそ

 

密室・殺人 (創元推理文庫)

密室・殺人 (創元推理文庫)

  • 作者:小林 泰三
  • 発売日: 2014/01/22
  • メディア: 文庫
 

 

『密室・殺人』小林泰三著を読む。

『密室殺人』ではなく『密室・殺人』。この「・(ナカグロ)」がみそ。

 

四里川探偵事務所にある中年女性から依頼が来る。
妻・浬奈への殺人容疑をかけられている息子・仁科達彦の無実を明かしてほしいと。
二人の間に離婚話が持ち上がっていた。

 

助手の四ッ谷礼子が対応する。なぜか四里川は出てこない。
四ッ谷は元婦人警官。とある殺人現場を目撃してトラウマとなって「幻覚」を見るようになり、退職せざるを得なかった。
谷丸警部の紹介で四里川探偵事務所へ転職した。

 

彼女は単身で現場の亜細山の別荘へ。もともと亜細山は「亜細神社のご神体」だった。
そこを跡を継いだ神主が神社を壊して「スキー場」にしたり、別荘地として売り出した。別荘は1件のみ。そこで起きた殺人事件。しかも『密室・殺人』だった。天罰か、祟りか。

 

弁護士・西條や浬奈の友人である新藤礼都も、怪しいし。

 

『密室殺人』は部屋の中で誰も入った形跡がなく死者がいる状態。
『密室・殺人』は部屋は密室なのだが、部屋ではなくがけ下で殺されていたゆえ密室と殺人。なるほど。閉ざされた部屋から浬奈は、どのように脱け出し、殺されたのか。

 

奮闘する四ッ谷。谷丸警部も登場。肝心の四里川もようやく参上。「隠密捜査」をしながら、最後に密室殺人の真相を明かす。

 

名探偵コナン』でもおなじみのシーンだが、四里川は名探偵なのか、迷探偵なのか。

再現シーンでネタバレを。腑に落ちるような、落ちないような。

 

いわくありげな土地に、怪しい地元の老人たち。
カルトというかなんだかTVドラマ『トリック』の世界を彷彿とさせる。
本格推理ものなんだけど、登場人物たちが個性的で会話も楽しめる。


人気blogランキング