今日は楽しい夏至祭

 
『ミッドサマー ディレクターズカット版』アリ・アスター監督を見た。
ネタバレしているので気をつけて。
 
彼女は大学院で心理学を学んでいる。彼は大学院で民俗学を学んでいる。
彼女は家族の不幸に遭遇する。神経が過敏なのか、強いストレスを受けると
過呼吸気味に。彼はそんな彼女の対処に手を焼いている。
ぎくしゃくしている二人の関係。
 
スウェーデンから留学している男の誘いで村で行われる「90年に一度の」夏至祭に
民俗学の院生仲間と行くことになる。
彼女も行く予定ではなかったが結局同行することに。
 
白夜の絵に描いたような美しい村。
音楽が奏でられ、踊る村人たち。アート、宗教、絵画、建築など独特の風習・文化。
ホラーは大概暗い夜や闇なんだけど、この映画は明るいシーン。
映像美にダマされるが、村の異様さが次第に露わになる。
異様といっても、それはこちら側からの感覚で。
 
たとえば、この村では一定の年齢に達すると命綱のないバンジー状態で
高い岩山からダイブする。日本なら「姥捨て山」だが。
その命は新しい命となって甦る。
 
ショックを受けた彼女は村から出ようとするが、彼は論文のテーマをこの村に
することを思いつき、友人のパクリだが、残るという。
 
アルコ&ピースの平子になんとなく似ている彼は、
村の娘に見初められる。
 
村を存続させていくために定期的に外部からの若者を生殖要員にしていた。
近親姦では障害を持った子が生まれる確率が高いから。
ところが、障害を持った子は時には予言能力など不思議な力を秘めているらしく、
そういう子どもは近親姦からと、使い分けをしている。
 
うっかりタブーを犯した仲間の一人。
良い論文のために約束を破った仲間の一人。
次々と消えていく。
 
彼らには最初、ユートピアに思えた村はディストピアだった。
 
後半、彼女にも思わぬことが起きる。それも何か村の長たちが仕組んだ話にも思える。
村出身の院生の手口は甘い言葉で自己開発セミナーやカルト宗教に
勧誘する手口といっしょだよね。
情報量が多いのでDVDで何度もチェックしたい。

文化の差異、カルチャーギャップは笑いにもなるし、ホラーにもなる。
究極のブラック・ コメディ映画。
映画館は女子率が高めだった。