タンゲくんに、ダンケ―かわいくないところが、かわいい

 

あけましておめでとうございます。今年も良い一年でありますように。今年のレビューは、絵本から。

タンゲくん (日本傑作絵本シリーズ)

 

『タンゲくん』 片山健著を読む。

タンゲくんは、猫だ。どうしてタンゲくんかというと、傷を負って片方の目が、見えないからだ。丹下左膳のサゼンから名前がついたのだろう。そうそう「明日のジョー」の丹下段平もアイパッチをしていた。

 

タンゲくんは、絵本の主人公だ。だからといって、かわいいとは限らない。かわいくない猫の絵本というと、「ああ、佐野洋子の『100万回死んだ猫』ね」と、思うそこのあなた、そういうステロタイプな思考経路は、良くない。タンゲくんは、理屈なんていわない。かわいくない自己チューの猫らしい猫だ。

 

縁あって、この春からわが家にも猫がいるが、やはり自分勝手だ。キャットフードが気に喰わないと、ぷいとソッポを向いて二階へさっさと行ってしまう。飼っているはずなのに、いつの間にか立場が逆転している。これが猫なんだよね。

 

こんなにかわいくないタンゲくんの絵本を子どもに見せていいのだろうか。ほんとにかわいくないぞ。こわいくらいだ。そう思う心優しき親御さんは、キティちゃんの絵本でも見せてあげればいいだろう。

 

タンゲくんは、突然女の子の家にやってきた。だから、突然のようにいなくなったりもする。よその家では、タンゲくんは何て呼ばれているのだろう。でも、タンゲくんは戻ってきた。でも、また、いなくなるかもしれない。

 

いつものように、タンゲくんは、あったかな午後の昼下がり、縄張りをパトロールして、ところどころにおしっこをひっかけているだろう。んでもって、塀の上で昼寝をしているはず。

 

ほんとうの猫好きのあなたなら、ページを開いたとたん、ゴロニャンとタンゲくんのトリコになるだろう。
 


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