子猫のモーが旅に出る理由

 

 

『Mo Story 子猫のモー』 チェ・ヨンジュ作・絵 矢部太郎訳を読む。

 

主役の子猫のモー。これがかわいいと思うか、思えないかで、評価は分かれる。ハチ割れ猫のモーは、うちの猫の一人に似ている。


なかなか寝付けなかったモーは、光を見つける。なぜか光がほほえみながら、「おいでよ」と誘っているような気がしてメモを残して冒険旅行に出かける。うちのハチ割れも二階のベランダのフェンスを乗り越え、家出したことがある。近所を探したが、見つからなくて猫探偵に捜査を依頼、数日後、キャットフードの入った捕獲器にいた。

 

深い森を歩いていると本が落ちてくる。持ち主はフクロウじいさん。「ミネルヴァのフクロウ」とかいわれるように、フクロウは森の哲学者。「笑っている光」について書かれる本を探すが、見つからず。地図と食べ物、「クマに気をつけるんじゃ」というアドバイスももらって再び、旅へ。ところが、モーはクマをよく知らなかった。

 

ヤマガラの夫婦、キタリス、コックのアライグマ、カヤネズミに出会う。しかし、「笑っている光」には出会えない。口々に彼らもクマに注意しろと。


おいしいキノコを見つけると、トナカイが現われる。笑いきのこを食べて愉快になるモーとトナカイたち。

 

漆黒の夜の森を歩いていると、突然、強い雨が。次に荒い鼻息と物音が。クマかと怖くなって隠れていると、フクロウじいさんの羽音だった。夜行性だもんね。びっくりした勢いでカバンを落としてしまった。拾ってくれたのは、クマだった。冬眠用のふとん代わりの落ち葉を集めている最中。クマがぶら下げていたランタンが「笑っている光」にそっくり。

 

一枚岩の穴の中の住まいに招かれたモー。おいしい食事とあったかなベッド。吊るされた星型のランタン。あ、「笑っている光」だ。これだったのか。必要以上にクマへの恐怖心を抱いた自分を恥じていた。いや、恥じることはないと思う。たまた善良なクマだったということ。

 

モーは無事帰還。喜ぶ母親と兄弟たち。この冒険旅行は、モーを成長させたのか。


アニメーションでなくても原画静止画、テレビ紙芝居でも、このかわいらしさは十分に伝わるはず。

 

矢部太郎の翻訳は、絵本・漫画の実作者ならではの読みやすく、いい訳。にしても、韓国語までできるとは。

 

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