ネット社会を成すものは、ITや英語スキルじゃなくて「人間の技量」

 

 

 

 


『フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来 』トーマス・フリードマン著を読む。上下2巻の部厚いステーキのような本。内容もたっぷり。

 

ITの普及により地域格差情報格差がなくなり、世界は「フラット」になった。その功罪を豊富な事例で検証している。もっともいいなと思ったところ。

 

「仕事の世界では、人あしらいが上手なのは大事な資質だが、フラットな世界ではなおさらそれが重要になる」

 

「パーソナライズされた他人との交流は、ぜったいにアウトソーシングやオートメーション化ができない。そして、バリューチェーンのどこかで、ぜったいに必要になる」

 

「人とうまくやる」。これは生まれつきのものなのか、教育なのか。結局は、「人間の技量」と作者は述べている。


ソフト化社会、ネット社会を成すものは、ITや英語スキルじゃなくて「人間の技量」。
MBA資格取得とか、口のうまさじゃなくてもっとファンダメンタルなもの。あなたじゃないとできないこと。それを早く見つけて、向上させることなのだろう。ディレクション能力、編集能力ともいえる。キュレーション能力もか。

 

なるほどそうだと思ったのは、アウトソーシングは、経費削減のためではない。より優秀なアライアンス先(設計などのソフト部門からサプライヤーなどのハード部門まで)と
組んで、より質の高い製品をつくるためにあると。いいもの(人)ほど、高いのは経済原則だもの。カン違いしている経営者が多くないか。

 

それと「ローカルのグローバル化」も大きな特徴の一つだと。欧米、特にアメリカメインのグーバリゼーションならぬ「逆グローバリゼーション」。「グローバルなメディアがアジアを押し包むのではなく、その地球のローカルなメディアがグローバルに広がる」ということ。

 

世界各地にあるチャイナタウンに続いてリトルインド、コリアンタウンなどが勃興し、音楽、映像、フード、言語など新たな文化の伝播、交流が生まれる。これは光の部分。

影の部分では、偏狭な民族主義愛国心が諍いの火種となる。すでに、そうなっている悲しい現実。

 

「フラット化する世界」ではインターネットにより、瞬く間に大きな炎になる。まさに、「ティッピング・ポイント」だ。


もし時間がない人でビジネス書として読むなら、第11章「企業はどう対処しているか」をおすすめ。フラット化する世界でのルールがまとめられていて、ここだけでも参考になるはず。

 

「ローカルのグローバル化」、都知事選の石丸伸二氏か。

soneakira.hatenablog.com

 

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