流行は野火のように広がる

 

 

『ティッピング・ポイント いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』マルコム・グラッドウェル著 高橋 啓訳を読む。

 

ティッピング・ポイントとは「あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと」。そして、そうなるためには「ちょっと正しい場所を押してやれば傾く(ティップする)」ことだそうである。

 

読むまでは、ビジネス書やマーケティング書のカテゴリーなのかと思っていた。まあ、そのジャンルであるには違いないのだけれど、ティッピング・ポイントの具体的な事例が、かなり方向性の異なったものが集まっていて、興味深い。


「ハッシュパピー」「ニューヨーク市犯罪の低下」「セサミ・ストリート成功の秘訣」「梅毒感染の謎」「落書きと無賃乗車」などなど。

 

改めてマス広告ではなく、クチコミ伝染(バズる)の威力を思い知らされた。社会をつなぐコネクターやメイブン(通人/まあ世話好きなおタクってとこかな)などティッピング・ポイントへ導くメカニズムも紹介しているが、このあたりは従来のマーケティングの流行のメカニズムー流行先取り層(インフルエンサー)から一般層へトップダウンしていくというピラミッド型の図形ーと似ていなくもない。

 

深くうなづいたのは、グラヴィターの著作を引用した一文、「弱い絆の強さ」である。これはどういうことかというと、「新しい職を探すことになったときは、あるいはそのために新しい情報や新しい視点が必要になったときー強い絆よりも『弱い絆』のほうが重要になる」。あたってる!と、思った。ぼくの場合、弱い絆に随分と救われてきた。

 

大きな変化という成果を生み出すのに大きな力はいらない。ツボどころをおさえた小さな変化で十分だという。それがわかれば、苦労はいらないつーの。


ビジネス書は、ちょっと…。というあなたにも、楽しくページが進むはず。    


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