脳のOSが異なるそうだ、大人と子どもは

 

 



『子どもの脳が危ない』福島章を読む。

 

残虐さを増す一方の少年犯罪など、未熟化、荒廃化する子どもの心、たぶん。子どもがキレる原因は親の躾(しつけ)や先生の指導に問題があるのではなく、胎・乳児期の脳障害にあると精神鑑定医として著名な作者は、言う。

 

「(1)環境ホルモンという化学物質による、脳そのもの(ハード)の変化があり、さらに(2)情報環境変化による脳の働き方の基本システム(OS:オペレーションシステム)の変化がある。そこに(3)さらに現代的な多様な問題をもたらす情報の氾濫がある。この三つが、現代の子どもたちの心の問題の骨格をなしているのである」と。

 

(1)、(2)の一例を挙げるならば、妊娠中の母親の流産予防のための黄体ホルモン製剤。その副作用により、「胎児の脳の形成に異常が起こり、その子どもたちが少年少女となってから高い攻撃性を示す」そうだ。母乳に含まれているダイオキシンなどに代表される環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)も、子どもの脳の形成に多大な影響を及ぼしている。

 

(3)に関しては「暴力場面の多いアニメーション番組、低俗なバラエティ番組など子どもの人格形成や価値観の形成に好ましくない番組が氾濫している」。テレビやテレビゲームなどメディアの、未成熟な脳に対する刺激の強さを、警告している。

 

また、この脳障害が知能は正常だが、学習に障害があるADHD注意欠陥多動性障害)児を引き起こし、そのことへの周囲の認識不足からいじめが生じ、やがて学級崩壊に進むとも。

 

最後に、「さまざまな個性と才能の発見・育成には、教育者の意識改革と教育現場の抜本的な変革が必要である」と結んでいる。

 

子どもでなかった大人はいない。だから、いまの子どもたちとも、腹を割って話せばきっとわかり合える、そうタカを括っていた。果たして、作者がいうところの大人という古い脳のOSで、どこまで子どもの新しい脳のOSをきちんと理解できるのだろうか。子どもを危険から防ぐのは、他でもない大人の役目なのだが。う~む。
 


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