欧米化

犯罪は「この場所」で起こる (光文社新書)

犯罪は「この場所」で起こる (光文社新書)

一冊の本を読んで、そこで紹介された別な本を読む。
点から線へ、線から面へと広がっていく。
なんだか友だちの関係にも似ている。


先日のエントリーで、『犯罪不安社会』浜井浩一+芹沢和也共著を
取り上げたが、その本に紹介されていた
小宮信夫の『犯罪は「この場所」で起こる』を読む。
も一回引用。


それよか「小宮信夫の主張する「環境犯罪学を普及」」させねばと作者はいう。

「これまでの犯罪学は「犯罪原因論」という考え方に立脚していたという。
それはある人間がなぜ犯行に及んだのか、その原因(人格・環境−筆者註)を
究明しようするスタンスに立つ」

そんなものは「防犯のために、まったく効果的でない」とか。


ライフスタイルが欧米化して、メリット・デメリット、
いろいろ派生してきた。食生活が欧米化して体格は向上したが、
結果としてアレルギーやアトピーなども引き起こした。
何やら犯罪もそうらしい。


「日本においては−略−かつては、コミュニティが、ささいなルール違反が
犯罪という重大なルール違反に「生長」する前に、初期の段階でその芽を
摘み取っていた。これは割れ窓理論の実践そのものである。というのは、
−略−割れ窓理論は、犯罪の多発という大きな変化は、秩序違反の放置という
小さな変化から始まると主張しているからである」


よく通りに面した家の塀の上や自転車のカゴに
ドリンクの缶などが置かれてある。
あれをさっさと撤収しないと、次々と増え続けたりする。
要するに気配り、目配りのできていないだらしない地域だと思われ、
それがやがて犯罪につながると。


「監視カメラという「機械の目」を生かすも殺すも、コミュニティという
「人間の目」次第なのである」


まさしく。


作者のいう「犯罪機会論」に不可欠なのが、「犯罪が起こりやすい場所を表示した
地域安全マップ」である。その手づくりマップを学校・地域単位で
作成することをすすめている。自分たちで検証してつくるわけだから、
自ずとヤバそうな場所は明確になるし、連帯感も生まれるだろう。


ただし、「地域安全マップ」は、「実際に犯罪が起きた場所を表示した犯罪発生マップ」や
「不審者が出没した場所を表示した不審者マップ」になってはならない。


そう述べているのだが、このへんがビミョーなところで、
少年警察官こまわり君や老年警察官じまわり君たちが、妙にはりきってしまうと、
仮に犯罪歴のある人が住民でいたりすると、勇み足になりかねない。
知的障害者、ホームレス、外国人などを」不審者とみなすこと自体差別だろうが。


作者は犯罪を減らすには、犯罪の芽を摘むことと、罪を犯した人たちの「立ち直らせ方」を
いまの事情にあったものに改良していかなければならないと述べている。
「レジリエンス(回復力)」を核とした「立ち直らせ方」。
言い方は違うかもしれないが、再犯予防―アフターメンテナンスである。
未然の予防ばっかに主眼が置かれているが、こちらも真剣に考えなければならないわけで、
海外の具体的な事例や主旨に目を見開かされた。


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