キャラたち日記

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)


ニッポンの小説―百年の孤独

ニッポンの小説―百年の孤独


昨年11月から、構成・ライティングにかかわっていた仕事のWebサイトが本日オープン。

mastercard ファイナンシャル・マネージメント入門書
大学生や社会人1〜2年生向けにまとめたつもりなので、たぶん、内容はわかりやすいはず。

ゲーム的リアリズムの誕生東浩紀と『ニッポンの小説』高橋源一郎を併読。
なかなかいいカップリングで、特に前者は、やさしくはないが、文学とライトノベルの違いを
哲学・現代思想軸からこと細かに分析してあり、参考になるものが多い。
ライトノベルはまず「キャラクター」にありき。
「人形は顔が命」なら「ライトノベルはキャラクターが命」ってことか。

ライトノベルの本質は、物語にではなく、キャラクターのデータベース」という
メタ物語な環境にある。ライトノベルの作者や読者は、物語を構築する、あるいは読解するために、
作家のオリジナリティや物語のリアリティにではなく、メタ物語的なデータベースへの
参照に頼り始めている。」

最近、遅れて知り、気になっている「世界系」という言葉も、
はじまりは押井守監督の『うる星やつら ビューティフルドリーマー』などだそうで、
これは禿同。映画館でぼくも、このアニメを見たときは、物凄い衝撃を受けたけど、
それを的確に表わす語彙が見当たらなかった。
ライトノベルの源泉の一つに村上春樹がいるというのも慧眼かもね。
だから、日本の文芸評論家たちから相手にされないのか。
一方、後者は相変わらずのゲンちゃん節が冴えまくっていて、実にチャーミング。
文学軸でもかように鋭い批評、語り口になるのかと敬服するのみ。


東の言う「作家のオリジナリティや物語のリアリティにではなく、メタ物語的なデータベース」に、
ライノベやケータイ小説の読者は共感を抱いているのだろうか。
(たぶん)若い読者がシンパシーを抱くのは、キャラに対してであって、
キャラに自己を投影させて、さしずめ、読むコスプレイヤー的感覚なのかなあ。


好きな人が不治の病で死んだり、生き返ったり、会いに来たり、
似たような物語がウケているのも作者言うところの
「大きな物語の衰退」=(キャラたちによる)「小さな物語の増殖・氾濫」、「拡散」の
表象なのだろう。


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