最後の恋人

最後の恋人 (残雪コレクション)

最後の恋人 (残雪コレクション)

つい先日まで坪庭の入り口近辺に置いていた
鉢植えの紫陽花。
カラカラのミイラ状態だったのに、
このところの暖かさのせいで、
新芽どころかいきなり葉をつけだした。
物干し台のアマリリス
いつの間に黄緑色の頭をもたげている。

『最後の恋人』残雪著を読んだ。
名残雪じゃないつーの。

無類の本好きの主人公の不可思議な冒険記。って、
かいつまんで言えばこうなるんだけど。
カフカを源にしているのは、
同作者の他の作品にも共通しているが、
この作品は、なうっぽい。
ポストモダンチックな無国籍小説。

初期の村上春樹あたりの作風に
もっと幻想度を増量した感じ。
現実と夢の境界線を自在に行き交う主人公。

「西方」「南方」「北方」「東方」の話。
第一章から第十六章まである。
16枚のシュールレアリズムっぽい絵画を
物語化したような。
RPGと思えばよろしい。
好きな方面を選ぶ。
進んでも経験値はあがらないし、武器や道具もゲットできないが。
独立している話が、繋がってくる。ように思える。

不思議な話ゆえ、リアリズムを重んじる人には、
読み続けるのが、つらいかも。

「訳者あとがき」で、ネタバラシしている。
ネタバレしていても、この小説の魅力は何ら変わることはない。
世界標準文学の担い手の一人だと勝手に思う。

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