AIはどこまで来ているんだろう

 

 

ポロック生命体』 瀬名秀明著を読む。
久しぶり。一時期、作者のロボティクス関連本を読み漁った。
それ以来かも。AIがテーマの4つの短篇集。

実際、AIはどこまで進化している?AIって本当に人間を超えるの?
読めば、AIの最新ネタを小説でわかりやすく面白く知ることができる。
このあたりは作者の真骨頂だろう。


以下短いあらすじなり、感想なりを。

 

『負ける』
「AIの将棋ソフト「舵星」が永世名人に勝った」。それはAIの能力が人間より優れていることなのだろうか。ここに出て来る将棋を指すロボットアーム「片腕」を実物で見てみたい。この一文が深い。

「人間が(人工知能に)負けてゆくこの瞬間に見える風景は、次に人工知能が負けるとき、きっとかけがえのない指針になるだろう」

はやポストAIの時代を示唆している。

 

『144C』
新人作家とメンターのやりとりから「物語をつくる人工知能」の歩みが述べられる。

AIでオリジナリティのある小説はつくれるのか。たとえば過去のあらゆる作品をビッグデータ化、そこから言葉をチョイスして売れそうなストーリーをAIがつくれるようになったとしたら。しかも機械ゆえ人間の作家のような老いはないと。劣化はあるかもしれないが。作家もどきだったAIが作家になる日はいつ来るのだろう。

 

きみに読む物語

「なぜ私たちは本を読んで感動するのだろうか―略―それを科学的に説明することはできるだろうか」

AIを使ってその感動を数値化するという話。「EQ(感情指数)」のような。それが共感指数SQ。ベストセラーは書き手と読み手とのSQのベストマッチングから生まれるそうだ。新しい尺度SQで古今東西の名作が数値化される。

 

ポロック生命体』
何やら新しい用語かと思ったら、ジャクソン・ポロックポロックだった。「ポロック」は、元大学でAIを研究していた石崎が起業した会社名。ポロックの絵をCGで再現する研究をしていた。会社ではかつての高名な画家、光谷一郎の晩年の「創作活動」に協力。傑作と評価されているが、実は、サイン以外はすべてAIが光谷の絵を描いていた。ポロックは、アクションペインティングで時代の寵児となった。
はたしてAIが描いた作品は芸術と呼べるのか。


人気blogランキング