『民意の主役 無党派層の研究』橋本晃和著を、読む。
研究なんで綿密な分析が続き、アハハと笑えるものではないが、かなり面白い。
長々と引用。
最近よく耳にする民意には3種類あるという。
A.「成熟する民意」B.「保身する民意」C.「未熟な民意」
A.「成熟する民意」とは、
「「改革実施」による“痛み”が少々自分にふりかかってきても我慢して支持しようとする民意」
さらに枝分かれして
○「年金・医療・介護制度に対して端的に現われる「権利-義務」意識、「受益-負担」意識に敏感な民意」
「この意識は強い市民・住民意識に裏づけされている」
○「環境問題や、国境を超えたグローバルな社会問題に対して端的に表れる「自己-他者」関係に敏感な民意である。
この意識は互いの強い共存意識に裏づけられている」
B.「保身する民意」とは、「自分たちの持っている既得権益を失いたくない人達」のことであるが、これも枝分かれする。
○「官公庁、民間企業の組合組織に「依存する民意」」
○「先祖代々、特定の政党を支持し続ける「世襲する民意」」
C.「未熟な民意」とは「一番投票に行かない人達」
これも枝分かれして
○「その場で拍手喝采はするけれど、かなり付和雷同的な態度で、いずれすぐ冷めてしまう「危うい民意」」
○「政治に振り向こうとしない、常に棄権する、または関心あれど投票せずの「無関心の民意」」
当然、Aの層が拡大してはじめて「日本に本格的な政権交代型の政治運営が展開されるであろう」としている。
いやあ、鋭い分析。あなたは、どーれだ?
2004年に出た本だが、なんか有権者の「予言の書」的本。昨今、マスコミよりもsnsの方が民意の形成と無党派層に大きな影響を与えるらしい。同じスタイルで2025年版が読みたい。