ChatGPTに作成させたレビュー投稿は違反ですか―大規模言語モデル入門

 

 

『大規模言語モデルは新たな知能か -ChatGPTが変えた世界-』岡野原大輔著を読む。

 

チャットGPTを支える大規模言語モデル(large language model、LLM)。見たことはあるが、どんなシステムで、どんなことができるのか。入門書として選んだ。以下抜き書きで。

 

LLMとChatGPTの違い
LLMは、膨大なテキストデータから学習し、高度な言語理解を実現する技術です。 一方のChatGPTは、LLMを応用して人と自然な会話ができるように特化した対話型AI、あるいはこれを開発したOpenAI社の提供するサービスを示します。
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp>20240229_llmより引用」

 

「1 大規模言語モデルはどんなことを可能にするだろうか」

 

見出しのみ引用。

〇文章の校正・要約・翻訳
〇プログラミングのサポート
〇ウェブ検索エンジンの上位互換
〇言語以外を使った作品を作る…画像、音声、動画、点群(3次元形状を表わす)
〇カウンセリング、コーチン
〇学習のサポート
〇高度な専門性が必要な仕事のサポート
〇人にやさしいインターフェース
〇科学研究の加速
〇演繹的なアプローチ(大規模言語モデル)と帰納的なアプローチ(機械学習)の融合
機械学習の弱点を大規模言語モデルが補完するとか。

 

以上メリットについて述べているが、次はデメリットを紹介している。よい情報ばっかがネットなどで目にするが、リスクについては驚くのみ。

 

「2 巨大なリスクと課題」

 

〇情報の信憑性―幻覚
「大規模言語モデルには、存在しない情報を作り出してしまうという致命的な問題がある。―略―厄介なことに、幻覚によって生成された誤った情報が、人間や専門家にも本物かどうか区別がつかないほど正確に見えてしまうことがある」「人間の「記憶違い」と同様の現象だと考えられる」
ヤバいね、これは。フェイク情報か。
〇幻覚の解決は簡単ではない
〇誤った情報の拡散
毎度snsでおなじみの。
〇プライベートな領域に入り込む
対話型AIだと個人情報や極秘の企業情報などを自ら晒す。これが漏えいすることもあると。あるいは盗まれると。
〇価値観や偏見の扱い方
〇本人であることの証明が難しくなる
オレオレ詐欺のように、その人になりすますことも容易になる」と。
〇変わる仕事、残る仕事
「プログラミング開発や文章修正、翻訳や校正といった仕事は大きく影響を受けると思われる」
〇AIの補助で仕事が変わっていく
〇大規模言語モデルの開発が一部に独占される
先行者利益か。

 

「終章 人は人以外の知能とどのように付き合うのか」

 

「重要なのは、人間とAIが互いの強みを活かし、協力して新しい価値を創造することである。人間はAIを使いこなすスキルを身につけ、柔軟な発想力や想像力を活かすことが求められる。一方でAIには、人間の限界を補完し、より効率的な解決策を提供することが求められる」

作者が述べているように、人間はパソコンもスマートホンも使いこなしているわけだし。そして。
「人間の自己理解を深めることは重要だが、言語獲得や運用に関しても、まだ完全に理解できていない。さらにはどのように思考し、判断するのかもわかっていない。この点で大規模言語モデルは、人間の理解に重要な役割を果すと考えられる」


難しい数式などはあえて省いてあるので、文系の人にも大規模言語モデルの過去・現在・未来がざっくりとわかる。岩波科学ライブラリーの一冊。同シリーズには読みたい本がわんさか。

 

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