幸なのか、不幸なのか、ともかく、ブローティガンの最後の作品

 

 

『不運な女』リチャード・ブローティガン著 藤本和子訳を読む。


「遺品の中から彼の娘が発見した」ノートに綴られたもの。ミュージシャンなら未発表音源デモテープのようなものか。相変わらず好きな文体、いい翻訳。日記と創作が入り混じった形式。


散文のような、ハードボイルドチックな文章(もしくは村上春樹チックな文章)は、すべてを言い表さずに70~80%に留めておいて、読み手の想像力に委ねてしまう。読んだあと、もぐもぐと反芻する。人それぞれに、そのうち、世界が投影される。

 

本人は、草稿ノートのつもりのようでもあり、そうでもなかった。そのまま刊行することも考えていたし、ここに書きつけたものを再構成することも考えていたようだ。

 

彼がピストル自殺したのが49歳のとき。このノートを発見した娘とも、結婚をめぐり対立していたことが記載されている。

 

幸なのか、不幸なのか、ともかく、彼の最後の作品。たぶん、センセーショナルな死と引き換えに刊行された作品。


ぼくの思いは、下記のレビューにほとんど書かれている。

soneakira.hatenablog.com


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