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郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

郝景芳短篇集 (エクス・リブリス)

 

 

 
『郝景芳(ハオ・ジンファン)短篇集』郝景芳(ハオ・ジンファン)著 及川 茜訳を読む。
『北京 折りたたみの都市』。『折りたたみ北京』の邦題の方が有名かも。
他の作品も読んでみたかった。

関係ないが、郝って表記するんだ、はてな
内田百けんのけんは表記しないのに。

3作品を紹介。

『北京 折りたたみの都市』
AIの普及などで職にあぶれた労働者階級。
彼らのために、というよりは北京や国家のために
北京を三面の折りたたみ式にして住まわせる。
限られた空間の有効活用。奇抜なスゴい発想。
なんかエッシャーのだまし絵や
ボスの地獄絵を彷彿とさせる。
富裕層地区と貧困層地区を線引きする隔離政策の一種としても有効かも。
ゴミ処理場で働く男は「娘の幼稚園入園資金」を捻出しようと
他地区への越境を試みる。
 
『弦の調べ』
ある日「鋼鉄人」という異星人が出現。地球が征服される。
彼らは「古い都市や芸術」を、庇護することに気がつく。
アートがわかるエイリアンって。
オーケストラの一員である主人公は演奏することで「鋼鉄人」に立ち向かう。
心の琴線ならぬ心の弦が共振することでパワーが生まれる。
なぜ?読んでのお楽しみ。
宇宙エレベーター」が稼働しているシーンにひかれた。

『先延ばし症候群』
原稿書けない病、正しくは原稿PCでつくれない病か。
ライターや作家の締め切りが迫っても
なかなかまとまらないことを自虐的ユーモアで包んだショートショート
白いワニに襲われた漫画家もいたなあ。
ゴリゴリのハードSF作家かなと思っていたら、違った。
 
物乞いも投げ銭ではなくQRコード決済とかいわれる中国。
共産主義国家でありながら金儲けがうまい。
台湾、香港などさまざまな矛盾を抱えながら、SF大国にもなるのだろうか。

まだ日本語訳になっていない作品がある。
早く読んでみたい。
 
『折りたたみ北京 現代中国SHアンソロジー』ケン・リュウ編 中原尚哉・他 訳の拙レビュー。
http://soneakira.hatenablog.com/entry/2018/11/02/121000