C-SF

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)

  • 作者:郝 景芳
  • 発売日: 2018/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 


『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』ケン・リュウ編 中原尚哉・他 訳を読む。
C-SFすなわちChina-SF。Cuteや CoolのCでもある。
中国SFのベスト・オブ・ベスト。
ケン・リュウが自分の作品を書く傍ら、C-SFエヴァンゲリストになって英語に翻訳。
見事なまでの作品のバラけ具合。
がちがちのハードSFからエンタメ系SFや伝奇SFまで。
工業製品からスポーツ、インバウンドによる爆買いに続いて
SFもやがて中国が席巻する時代が来るのかとマジ思う。

表題作である『折りたたみ北京』は人口過多のため三面の「折りたたみ式」になった未来の北京。

「第一スペースで、人口は500万人。彼らに割り当てられた時間は、午前六時から翌朝六時まで」「裏面は第二スペースと第三スペースだ。第二スペースの人口は2500万人で、割り当てられた時間は二日目の午前六時から午後十時まで。第三スペースには5000万人が暮していて、午後十時から午前六時までの時間が割り当てられる」

 

とてつもなく巨大な立方体の未来の北京。
各面の回転。
モダンになった九龍城砦軍艦島を想像する。

気になった作家はシア・ジア。
多和田葉子の書く世界に、よりSFファンタジー濃度を高めたような。

マー・ボーヨンの『沈黙都市』も良かった。
2046年パノプティコン社会の到来。
本は電子化され、紙の本は消滅。
「検閲制度」を乗り越えて語り継がれる禁書、オーウェルの『1984年』。
それはいかにして。
言葉狩りと同様に恋愛なども禁忌となっている。
それを破ろうとする『会話クラブ』の面々。

現代中国SFの代表作が『三体』であることを知る。
ようやく来年、日本語訳版が出る。


【速報】中国SFの雄、劉慈欣『三体』ついに2019年早川書房より刊行決定



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