書くこと 歌うこと 生きること

 

彗星の孤独

彗星の孤独

 

 

春の雨 冷たいか 温かいか いずれにしても 足や心を止める。

 

『彗星の孤独』寺尾沙穂著を読む。

 

シュガーベイブ二代目ベーシスト・寺尾次郎
フランス映画の字幕翻訳者・寺尾次郎
同姓同名の別人だと思っていたら、
同一人物だった。

 

その娘である著者が
楽家と文筆家を兼ねているのは
遺伝と単純に決めつけると叱責されるかもしれない。

 

著者がものごころついた頃には
バンドマンをやめていたし。

 

著者は『南洋と私』ではパラオなどからの引揚者、
原発労働者』では原発作業員に聞き書きを行い本にした。

 

ともかく自分の目で見る。肌で感じる。
手間もかかる。時にはいやな思いもするが、
自身で納得のいく真実や真相をつかむために行動する。
なるべく引用やコピペしない。

それが音楽や書くものに反映される。

 

三女のシングルマザーでもある著者と子どものやりとりを書いたものは、
娘を持つぼくが、いまとなっては懐かしいことを思い出させてくれる。
『カラスの話』、『ダンゴムシの話』とか。

 

音楽は繊細だが、骨太な精神。書くものもそう。
アジるとかしないで、きちんと表現に落とし込んで主張している。

 

何か引き合うものがあるのだろうか。
ユタなど霊媒師の末裔など精神世界方面の話もある。
民俗学のニオイがするのだが。

 

翻訳家となった父親は仕事場に寝泊まり。
正月に帰る程度だったとか。

 

病床での父親への聞き書きも未完で終わる。
『二つの彗星―父・寺尾次郎の死に寄せて』。
優れた私小説

 

寺尾沙穂の楽曲がキャロル・キングと似ているくだりが出て来る。
確かに。

それはロックってことで括れる。
ロックなひと。
ロッケンロールじゃなくて。


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