火を見るよりも明らか

火の書

火の書


『火の書』ステフェン・グラビンスキ著 芝田文乃訳を読む。

火をテーマにした短篇集とエッセイとインタビュー集という
ファンにはたまらない一冊。
ホフマンはオールドファッションで
ポーやスティーヴンソンが贔屓。ってことを知る。

インタビューで幻想小説をこう定義づけている。

 

「幻想作品は一種の避難所、不幸な人々や運命に恵まれない人々、
ひどく失望した人々のための慰めの聖堂なのです。―略―
最後に幻想小説とは、日常生活の機械化と無味乾燥に対する
夢の反応であり、日常生活の散文に対して反逆する魂の反応なのです」


けだし、名言。
だから、幻想小説が好きなのか、オレは。

短篇で気になったことを。
『赤いマグダ』のヒロイン・マグダ。
『炎の少女チャーリー』や『キャリー』に通じるものがある。

『白いメガネザル』
煙突掃除夫と煙突に巣くう謎の生物との戦い。

『火事場』
油断大敵なブラックコメディー。

かつて住んでいた街で放火が相次いで起きた。
新築物件が焼けたときの赤色は
夜中、マンションの窓越しに見ることができた。
数週間後、駅の反対側、古い戸建住宅の半焼したさまを
見物に行ったら、結構にぎわっていた。

『ゲブルたち』
ゾロアスター教と精神病院の隆盛記。
一種のマッドサイエンティストものか。

そう言えばゾロアスター教拝火教とも呼ばれ
 密教護摩なんかに影響を与えたことを思い出す。
火は時には災難を起こすが、暖やおいしさ、癒しを与える。
火を使うことで人は動物に優位に立てるようになった。

グラビンスキは『動きの悪魔』では蒸気機関車を。
本作では消防自動車を取りあげているが、
カニズム・フェティッシュなんだろな。

火鍋で火酒をあおってヒヒヒッと笑おうと思ったが、
気温が高い。

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