- 作者: 佐藤俊樹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/02/18
- メディア: 新書
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生暖かい雨。
渋谷の歩道橋は、強風のメッカ。
折りたたみ傘がおちょこになりそうになる。
近い将来、駅前近辺は高層ビルだらけになるそうで、
ビル風も凄まじいものになるんだろう。
桜が咲く前に『桜が創った「日本」』佐藤俊樹著を読む。
いまや桜の代名詞、ソメイヨシノのルーツを探りつつ、
日本人と桜の関係から文化を考察した本。
その昔、和歌などに詠まれた桜はヤマザクラだったが、
その和歌を詠んだぼくたちがイメージする桜は、たぶん、ソメイヨシノ。
桜はバラ科。バラ科は多彩だが、桜とて多彩。
なのに桜の「80%がソメイヨシノ」だそうだ。
江戸時代、
「ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの交配でできた」
「接木や挿木による」いわば「クローン」。
で、春に日本中で同じ景観を見せてくれる。
特徴は成長が早いが寿命も短い。
日本人の平均寿命並み。
靖国神社界隈は花見の名所だが、
銭湯のペンキ絵の如く派手な色合いは、
明治以降欧米化した日本人の好みではないかと作者は言う。
「ソメイヨシノは見映えがするまで十年」だそうだ。
なんだか都合のいい人みたい。
ぱっと咲いてぱっと散る。
その風情が日本人の心に響くとか尤もらしく思うが、
ソメイヨシノはヤマザクラより歴史はうんと浅く、
明治以降のこと。
ついでに、桜ソングの多いこと。
桜への思いは、あとづけ理論のようだが。
小学校のとき、給食のあんぱんを持参して
近所の公園まで花見に行った。
もち、ソメイヨシノ。
ぼくも作者と同じで清楚なオオシマザクラが好みだ。
これは大人になってからだけど。
父親への弔電で予科練の人からのがあった。
「同期の桜」とあったが、これもソメイヨシノなんだろう。