たわしの亀 あまりもの

記憶に残っていること (新潮クレスト・ブックス 短篇小説ベスト・コレクション)

記憶に残っていること (新潮クレスト・ブックス 短篇小説ベスト・コレクション)


数日前、夕方の渋谷、ビックカメラ前あたりで
たわしでつくったと思われるペットの亀、大小をひもでひっぱっている人を見た。
何かのパフォーマンスか。イニシエーションか。

Eテレで「ニッポン戦後サブカルチャー史 第5回「雑誌ワンダーランド 70年代(2)」を見た。
私の体を通り過ぎた雑誌たち。
捨てたり、売ったり、あげたり、返ってこなかったりで、
手元にはほとんど残ってないけど。
てなもんで、インターネットやスマートフォンなど皆無だった頃、
雑誌の果たしていた役割の大きさを感じる。
元編集長たちのコメントをとった短い映像が収穫といえば、収穫。
『ワンダーランド』では、平野甲賀のデザインの素晴らしさを紹介していたが、
『遊』では、杉浦康平を取り上げなかった。尺の都合でカットされたのか。
自販機エロ雑誌もカットか。
NHKオンデマンドでノーカット版を見れるようにすればいいのに。

『記憶に残っていること (新潮クレスト・ブックス 短篇小説ベスト・コレクション)』
堀江敏幸編を読む。

「クレストの全短篇集から10篇を選んだベスト・コレクション」

だそうで、編者の腕の見せ所。
さすがに、おいしゅうございました。
解説「人はなにかを失わずになにかを得ることはできない」も、
おいしゅうございました。
イーユン・リーの『あまりもの』が、ぼく的にはベスト。
寓話っぽくて、ディケンズバルザックの作品あたりにも通じる。
移民などで母国語ではなく移民先の国の言語で書く文学。
多和田葉子もドイツ語で書くようだが、
作家と翻訳家の一人二役をこなしての
メリット・デメリットは、どうなのだろう。

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