- 作者: 山野良一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/09/17
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『子どもの最貧国・日本』山野良一著を読む。
親である大人が「貧困」に苦しむようになれば、当然、その子どもとて苦しいのだ。
福祉が高齢者に手厚いのは、票田だからなのだろうといぶかるぐらい、
この国の「児童福祉」のおそまつさ、現状を改めて知る。
「生活保護の審査などの厳しい運用方法」は、「不正受給を減少」するためという
大義名分があるからだとか。しかし、
「83年の不正受給は全国で789件、全体の生活保護世帯の0.1%でしか発生していない」
そうだ。トカゲの尻尾切りか。
「(日本政府は)公的な(家族福祉の)支出をほとんど行わず、家族だけに頼る政策を
続けてきたことのツケが、子どもたちの貧困の増加をもたらした元凶ではないでしょうか」
確かに子どもが大学進学するとなると、学費を親が賄えない場合は、
親戚など血縁・地縁関係者が、肩代わり、工面してきた。
しかし、それはもう難しいだろう。
「子どもたちの貧困の実態にまったく目をむけようとしないことで、結局、
日本社会は大きな社会的損失を被り続けているのかもしれません」
沈黙の臓器ではないが、子どもたちの直接的な叫びはなかなか聴こえては来ない。
「そこで生じる社会的損失とは、−略−子ども個人個人の問題と見えているものが、
結局、社会全体の生産性の減少へとつながり、貧困な状況に置かれた個人や
家族のやる気を奪い、−略−問題を放置し続けることで、逆に医療費や社会保障費
などの社会的コストの増加につながってしまいます」
因果は巡る風車、だ。
アメリカは、「児童福祉」に政府予算がそれほどでなくても、
莫大な寄付があるそうだ。