幸せって何だっけ

平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」 (光文社新書)

平成幸福論ノート 変容する社会と「安定志向の罠」 (光文社新書)

よー降った雨。ここ数日の移動はもっぱら電車で
自転車はシートをかぶったまま。


『平成幸福論ノート』田中理恵子著を行き帰りに読む。
作者は水無田気流でもあるので、
前著の『黒山もこもこ、抜けたら荒野』路線を
期待したら、かなりガチだった。
もう少し軟派にするんだったら、本名じゃなく、水無田気流名義で出すもんな。
「世代間格差」「孤独死」「婚活」などに関するミニ論考が
すし詰めになっていて、一篇読み終える度に、考えさせられる。
もやもや思っていたことが、きちんとまとめられていたりすると、
霧が晴れるようにそういうことだったのかと納得。
納得はするが、明るくない現実、
たぶん明るくならない未来を認識してため息をつく。


福島県郡山市にいる妹が、放射能とか騒がれているが、
もう私たちはここから避難はしない。
ただし、若い人や子どもたちは避難できる先があれば避難すればいいと
電話で言っていた。
たぶん似ている。(中高年である)ぼくたちは、もういいだろう。
あのバブルを体験した年代は、もういいだろう。
よくダウンサイジングとかいうが、
それは、いい時期があってのダウンサイジングなわけで
いまの若者はいい時期を知らないし、これからいい時期があるのだろうか。
強欲な(中高年である)ぼくたちは、意地汚く期待するが。


この本にも書かれているが、有権者、選挙に行くのは圧倒的に高齢者で、
だから高齢者よりの政策になると。
あなたが少子化を嘆く高齢者の一人なら、
あなたたち高齢者がせしめている予算を
もっと若い世代や子どもたちに分配することを容認しなきゃ。
引用。

「フランスは、全世帯の六割が、約三五〇万円以下の年収にもかかわらず、
国が子育てを全面的に支援することにより出生率を回復してきた。−略−
日本でフランス並みの少子化対策を行おうとすれば、約一〇兆円の予算が
必要となる。−略−フランス並みの支援が難しいというのであれば、
男女間の雇用待遇格差や、女性の出産・意気地にともなうキャリア中断によるハンデを解消する必要がある。たとえば、育児・子育てにより離職する女性を男性並みの「就労率八〇%」にすると、GDPが一五%も上昇するという試算もある」

かように裏づけの統計・データもかなり出てはいるが、
そこに作者の意見もきちんとわかりやすくまとめられている。


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