「人間の知能」を紐解く古典的名著。ほんのさわりを

 

 

『心の社会』マーヴィン・ミンスキー著  安西 祐一郎訳を読む。
「人間の知能」を紐解く大著。章立てを眺めているだけでも楽しい。さわりだけ紹介。


ミンスキー教授曰く、「心とは、「一つ一つは心を持たない小さなエージェントたちが集まってできた社会」」だとか。


こうして人間の知能の仕組みから人工知能の研究へ進み、それが人間の知能の成り立ち方へとフィードバックされていく。人間はいとも簡単に階段を上り下りするが、その行為(二足歩行)をロボットで完璧にコピーできるまでに長い時間がかかった話を思い出す。

 

人口知能やロボット研究の先駆者である作者は、ピアジェフロイトなど児童心理学を通して子どもの思考回路や心を観察し、いかに心が社会化されていくか、そのプロセスや仕組みを人工知能などに応用する研究に着手した。

 

部厚いけど、ちょっとずつ読んでみたら、楽しかった。ヴィトゲンシュタインの文体をもう少しポエティックにしたような。

たとえば、

「私たちは、機械というものが昔とまったく変わらないかのように古い言葉を遣い続けている。私たちにとって必要なのは、前には考えもしなかったようなスケールではたらく現象に自分の態度を合わせていくことである。もうすでに、《機械》という言葉では先のことが考えられなくなっているのである」

 

こんな感じ。ナイスでしょ。

 

図版もいろいろ充実していて、ボンクラ文系おつむの読解をヘルプしてくれる。

 

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